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政局短信3.2~見えているのは立派な建物(公共施設)、見えないのは借金の山(市債残高)

2016年1月21日トピックス

 見えないはずの借金の山がある日、突然見えてきた事例を一つ紹介します。財政破たんした北海道夕張市です。夕張市は夕張メロンの産地として有名ですが、明治の頃から炭鉱で栄えた町です。その夕張市が平成19年3月に「財政再建団体」に指定されて、事実上、財政破たんしました。その際に明らかになった市の赤字額が約353億円(累積債務額を含む。)でした。夕張市の平成19年度一般会計予算は約92億円でした。実に予算規模の4倍の不良債務を抱えていたのです。市税収入(約11億円)と比較すると32倍です。ちなみに阿賀野市の場合はどうでしょう。平成27年度の一般会計予算規模は約208億円(A)。市税収入は約40億円(B)。借金(市債)残高は251億円(c)。C/A=1.2倍、C/B=6.2倍。住宅ローンを借りるときは年収の5倍以内と言われていますが、財政破たんした時の夕張市は年収(市税収入)の実に32倍の借金を抱えていました。(阿賀野市の場合も既に5倍を超えていますが…)

 夕張市は平成21年4月からは「財政再生団体」となり、国(総務省)の承認を得て策定した「財政再生計画」に基づき、財政再建に取り組んでいます。この「財政再生計画」によると、総額322億円の借金(再生振替特例債)を18年(H21年度~38年度)かけて返済する計画になっています。平成25年度からは元金の返済が始まりました。毎年の返済額は利息分を含めて約26億円です。夕張市の市税収入は約8億円(H27年度)。市の税収だけでは返済できないため、実際は国からもらう地方交付税(H27年度、約48億円)で返済しています。

 夕張市の財政破たんの引き金となったのは、中田鉄治元夕張市長(故人、市長在任:昭和54年~平成15年)が推し進めた「炭鉱から観光へ」の安易な政策転換と観光産業の放漫経営でした。中田市政時代に次々と観光施設(箱物)が建設されました。「夕張市石炭博物館」(S55年、約15億円)、「石炭の歴史村(写真左)」(S58年、約55億円)、「メロン城(写真中)」(S60年、約7億円)など観光関連施設の投資額(建設・買収)だけでも約119億円にもなります。

 財政破たん前後の3年間(平成18年~20年)の人口動向をみると、人口の1割近くが消失しました。長期間続く住民サービスの低下と住民負担の増大に耐えかねた住民の人口流出がその原因です。国立社会保障・人口問題研究所が平成25年3月に公表した夕張市の推計人口によれば、平成22年の人口10,922 人に対して30年後の平成52年の人口は3,883人。実に6割以上も人口が減少します。特に働いている世代(生産年齢人口)の人口減少が顕著です(7割以上の減少)。夕張市の人口のピークは昭和35年の11万6千人。50年後の平成22年の人口は1万人。50年間で人口が10分の1になりました。30年後の平成52年の推計人口は3千8百人。30年間で人口が3分の1になります。

 財政破たんするまでは見えなかった「借金の山」。見えてきたら加速しはじめた「人口減少」。今、見えているのは「廃墟と化した夕張の街並み」(写真右)です。※この項終わり。
*財政破綻した夕張市の詳細については、「財政破たんした夕張市の現在・過去・未来」(ライブラリーに収納)を参照してください。
(広報部長 柊 三郎)

posted by 地域政党 日本新生 管理者