2012阿賀野市長選挙、市議補選を終えて(その4③)
実際にこのアンケート調査結果を利用した陣営にコンサルからどのような提案があったかは分からないが、このアンケート調査を使って、法の網をすり抜け、確実にしかも悟られずに自陣営の候補者に票を集める方法がある。ここからは、私がコンサルであれば提案したであろう調査結果の活用方法である。
それは、ターゲットにした有権者に暗示を掛け特定の候補者に投票させることである。暗示とは、他者によって与えられた言葉やジェスチャー、シンボルなどを、論理的根拠なしに無批判に受け入れることにより自らの考え、意見、態度、行動に変化が生じることをいう。多くの場合、暗示を受けた者はそのような変化を、他者によってもたらされたとか強制されたとかは思わず、なんとなく自然にそうなったと思う。
実際にどのようにして有権者に暗示を掛けるのか。ターゲットになる層は、アンケート調査の質問1の「投票に行くかどうか。」で「分からない」を選択した人、質問2の「市の政策に何を望むか。」で「分からない」を選択した人、質問3の「市長に誰が適任か。」で「分からない」を選択した人。これらを選択した人たちに、告示日直前にアンケート調査から推計した各候補者の最終得票数(予想)を知らせる。投票させたい候補者は第2位の得票数にしておく。しかも1位との票差はあまりない。そして、アンケート調査のお礼として金券など経済的価値のある品を添える。
このお知らせを受けた人は、自分の投票によって2位の候補者を1位にできる(当選)のではないかと考える。投票場に足を運ばせる動機づけは金券などの利益供与である。暗示を掛けられた有権者は迷うことなく2位の候補者に1票を投じる。このように投票に行くかどうか決めていない、市の政策に関心がない、誰に投票するか決めていない有権者層に暗示を掛け特定の候補者に投票させる方法、一見、法(公職選挙法)の網をすり抜けているように思われるが、かなりのグレーゾーンに入るのではないかと考えている。
一つには、アンケート調査のお礼として金券など経済的価値のある品を渡したことが、特定の候補者を当選させるために行われた選挙人(有権者)に対する買収(法221条~223条)に当たるかどうか。もう一つは、アンケート調査結果(候補者の予想得票数)を知らせたことが、公職選挙法で禁止する人気投票を公表したこと(法138の3)に当たるかどうかである。判断は専門家に委ねるしかない。
(代表 天野市栄)