「10月に策定した総合戦略を実行していくが、道筋を付けるのが私の責任だ」と強調しながら(新潟日報12月19日(土)付け朝刊記事)、今月18日に再選に向けて出馬表明した田中清善阿賀野市長であるが、総合戦略は再選出馬の表向きの理由で、本当の理由は三つある。一つには消雪パイプの新設(継続)、二つ目は文化会館の建設、三つ目は「道の駅(下黒瀬地内)」の建設である。これら3つの政策課題は、前回市長選で田中市政の生みの親(前回市長選で田中清善氏を担ぎ出した当時の市議12人のこと)が票集めと引き換えに田中清善氏と交わした親子の契り(密約)だ。
●消雪パイプの新設(継続)(写真左:市内某所で行われている消パイ新設工事現場)
消雪パイプの新設は田中市長が市長就任後に市議会臨時会(平成24年5月開催)の所信表明で述べた5本の政策の一つだ。田中市長が5本目の政策として挙げた「生活に密着した住環境の整備の促進」のなかで「消雪パイプの整備(新設)を計画的に進めながら…」と述べている。当初計上されていなかった平成24年度一般会計予算に消雪パイプの新設をねじ込んで約1億円の税金を使っている。平成25年度は約2億6千万円、平成26年度は2億8千万円、平成27年度は約2億円の税金を使う予定だ。田中市長は4年間の任期中に消雪パイプの新設に実に8億4千万円もの税金をつぎ込んだことになる。
ところで、天野市議(私の弟)が平成25年の3月定例会で、消雪パイプの整備状況と今後の見通しについて一般質問をしているので紹介したい。
・担当課長の「現在275の自治会のうち104の自治会からご要望いただいております。概算で16億円、49キロの整備が必要となっております。」との答弁を踏まえ、
・天野市議の「現在104の自治会から提出されている消雪パイプの設置要望に対し、市長は何割程度任期中にやられるかというのをお願いします。」との質問に対し、田中市長は次のような答弁をしている。
・「選挙期間中に申し上げましたのは、半分程度はやりたいと申し上げておりましたが、総事業費のほうも16億と。選挙期間中には12億程度かなと思っておりましたが、少しふえてきておりますので、その辺については再度また見直しをしなければいけないのかなとは思っておりますが、できるだけ住民ニーズ、市民ニーズに応えていきたいと考えております。」
※事業費ベースでの進捗率は70%(8.4億円/12億円)でまだ3割残っている。16億円をベースにすれば5割近くも残っている。
田中市長の4年間の市政運営が消雪パイプで始まり消雪パイプで終わろうとしている。次号の「政局自論13」で「田中消パイ市政の4年間」を検証する。乞うご期待を。
●文化会館の建設(写真右:あがの新報 平成24年5月号記事)
田中市長は、前回市長選で当選翌日に後援会事務所で行われた共同記者会見の席で、「(市長になって)他にやりたいことは」との質問に対し、次のように述べている。
「文化会館をつくりたい。今市内で発表する場がない。…」(あがの新報 平成24年5月号記事)
さて票集めと引き換えに「文化会館」の建設について田中市長と親子の契り(密約)を交わした市議は誰か。これまでの市議会定例会の一般質問から推測すると、山崎市議(水原地区)ではないかと考えている。山崎市議は平成25年3月定例会で文化会館の建設について、次のような質問をしている。
・「さきの選挙に際し、市長の公約や市民座談会において文化会館の建設計画の要望が多くあったやに思いますが、現在当市には社会教育登録団体が約200団体近くあると言われております。音楽会や文化講演会、それに各種発表会などを開催するに適当な会場、800人から1,000人ぐらいの入れるような規模がないのが現状ではなかろうかと思います。…」
・山崎市議の質問に対し田中市長は次のように答弁している。
「文化会館の建設計画についてのご質問であります。私が市長選挙の政策の柱の中でお示ししたものではございませんが、文化団体の皆様を中心に市民の間にそれを望む声があることは承知いたしております。今現在発表や公演など文化会館的な利用が可能な既存施設の収容人員は、固定椅子が設置されている施設で最大200席、またいすを並べて使用したとしても最大400席が限界であり、ステージの狭隘さと相まって、これ以上の規模となる施設の整備が必要ではないかと考えているところでございます。…」
田中市長が前回市長選の当選翌日に行われた共同記者会見の席で述べた「文化会館をつくりたい。今市内で発表する場がない。…」(あがの新報 平成24年5月号記事)との発言は嘘だったのか。いや、そうではない。田中市長がめでたく再選されれば安田支所と安田公民館を合体した文化会館ができる。田中市政生みの親の市議の一人(安田地区)が田中市長に安田地区に文化会館を建設するように強く求めているからだ。(詳しくは市政かわら版9号」を参照)しかしこうなっては水原地区を選挙基盤にしている山崎市議の面目は丸つぶれ?
また、文化会館の新設となれば事業費は数十億円規模にもなる。とても市内の建設業者だけで請け負えない大規模な公共工事だ。水原中学校の新築や新病院(あがの市民病院)の新築のように、文化会館の建設は県内ゼネコンと市内建設業者との共同施工(JV)になるだろう。そうなれば県内ゼネコンにとっても大きななビジネスチャンスだ。特に田中清善市長と旧知の間柄にある県内ゼネコンF社の代表取締役のO氏の期待は大きいだろう。(このほどO氏の邸宅が田中市長の自宅からほど近いところに新築されたそうだ。)
●道の駅(下黒瀬地内)の建設
この件については、ライブラリーにアップしている政局自論8「動き出した利権まみれの『道の駅』開発構想(阿賀野市下黒瀬地内)」をご覧いただきたい。なお、開発予定地の下黒瀬地内を選挙基盤にしている高橋市議(田中市政生みの親の市議)は、道の駅の整備について、市議会定例会でこれまで2回質問をしている。高橋市議が、動きが鈍くなった田中市長(人形)のネジを巻いたおかげで、平成27年度の一般会計の当初予算に調査費1200万円が計上された。
●田中清善阿賀野市長が再選出馬を決断した本当の理由は、
1.消雪パイプの新設(継続)
2.文化会館の建設
3.「道の駅(下黒瀬地内)」建設
の3つだ。
これら3つの政策は、いずれも前回市長選で田中市政の生みの親(前回市長選で田中清善氏を担ぎ出した当時の市議12人のこと)が票集めと引き換えに田中市長と交わした親子の契り(密約)だ。田中市政3年9月を振り返ると「消雪パイプの新設」はまだ道半ば、「文化会館」と「道の駅」の建設は未着手の政策課題だ。
言語明瞭・意味不明瞭な「総合戦略」を選挙公約にするよりも、「消雪パイプの新設(継続)、文化会館の建設、道の駅(下黒瀬地内)の開発」を再選出馬の理由(政策)にした方がずっと有権者(特に建設産業に携わる有権者)にアピールできると思うのだが、今回もまた生みの親との密約にして有権者に隠しているのかも知れない。(代表 天野 市栄)