財政破たんした北海道夕張市の現在・過去・未来を考える(その11)
■夕張市の借金(総額322億円)は私たち国民が返済している!
~「えええ、どうしてなの???」(前編)
夕張市は2007年(平成19年)3月6日付けで地方財政再建促進特別措置法(現在は廃止)に基づく「財政再建団体」に指定され事実上財政破たんした。この時に策定された夕張市財政再建計画素案によれば、再建期間(H18~H36)中に解消すべき会計赤字額(累積債務額を含む。)は約353億円だ。主なものを挙げれば次のとおり。
○炭鉱会社(倒産)が設置した鉱員向けのインフラを市が購入したことなどにより生じた赤字額
・病院事業会計閉鎖に伴う累積債務額 45億円
・一般会計、住宅管理会計赤字額 60億円
○中田鉄治元市長(故人)の失政(「炭鉱から観光へ」で始めた観光・レクリエーション投資における放漫経営)により生じた赤字額
・観光事業会計閉鎖に伴う累積債務額 186億円
○その他
・民間会社に対する貸付未収金 16億円
・宅地造成事業会計閉鎖に伴う累積債務額 23億円
中田鉄治元市長の失政により生じた債務(借金)が会計赤字額の半分以上を占めていることは特筆に値する。(本来「特筆」は褒め言葉であるが、ここでは逆の意味で使用)※次号に続く。
(あとがき)
ギリシャの債務問題で国際金融市場が大きく揺れている。昨日の日経平均株価は596円の大幅な下落だ。6月30日が返済期限となっている国際通貨基金(IMF)による約15億ユーロ(約2000億円)の融資が焦げ付き、事実上の債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が出てきた。また、これまで資金繰り支援で支えてきた欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債の償還期限が7月20日に迫っている。欧州連合(EU)などの債権団が支援の条件としてギリシャ政府に求めている緊縮財政に対して、チプラス首相はギリシャ議会で、国民投票で是非を問うと表明した。EUやECBの金融支援延長が打ち切られれば、ギリシャの「ユーロ離脱」という想定外の事態に発展しかねない。1999年のユーロ発足以降、「単一通貨ユーロは後戻りしない」という前提が揺らいでいる。日本の財政は大丈夫なのか。
(代表 天野 市栄)