財政破たんした北海道夕張市の現在・過去・未来を考える(その9)
夕張市は、2007年(平成19年)3月6日に地方財政再建促進特別措置法(現在は廃止)に基づく「財政再建団体」に指定され事実上財政破たんした。夕張市が「財政再建団体」になって以降、市議会議員選挙が3回行われている。(市議会議員選挙は市長選挙と同時実施で、統一地方選挙の日程で行われている。)
■平成19年4月22日執行(定数9人)
(立候補届)
・現職7人、平均年齢53才
・新人4人、平均年齢51才
・計11人、平均年齢52
・最高年齢64才:、最少年齢37才
*注「新人」は「財政再建団体」指定以降に立候補届けをした候補者(以下、同じ。)
(選挙結果)
・現職6人
・新人3人
・新人の議席占有率33.3%
※コメント
夕張市が再建団体に指定された年に行われた選挙である。議員定数が18人から9人に減らされて行われたが、現職11人は立候補しなかったのはなぜだろうか。理由・事情は各々いろいろと考えられるかもしれないが、市の財政を破たんさせた張本人である中田鉄治元夕張市長(故人)の市政運営(失政)を市議としてチェックできなかったことに対して市民からの非難を受けることを避けた、というのが本当の理由だろう。併せて議員報酬の大幅な削減という経済的な理由もあるだろう。だから敢えて「茨の道」を選択して当選した現職6人及び新人3人にエールを送りたい。「あなた達こそ、真の改革者だ。」
■平成23年4月24日執行(定数9人)
(立候補届)
・現職2人、平均年齢46才
・新人7人、平均年齢56才
・元職1人、平均年齢57才
・計10人、平均年齢54才
・最高年齢70才:、最少年齢41才
(選挙結果)
・現職2人
・新人6人
・元職1人
・新人の議席占有率60.0%
※コメント
この選挙では前市長の藤倉肇氏が立候補し当選した。夕張市では市長選挙と市議会選挙が同時に行われるが、市長選に出馬しないで敢えて市議選に出馬した理由はなんだろうか。考えられる理由は2つ。1つは高齢であったこと。藤倉氏の市議選立候補時点での年齢は70才。市長職は体力的に無理として市議ならなんとかやれるということであろう。もう一つの理由は会社経営の手腕を市政運営で生かせなかったことであろう。藤倉氏は地元夕張市出身の会社経営者である。系列販売会社として全国最下位近くだった売上高を在任中にトップにまで引き上げた実績を持つ実業家だが、その手腕が市政運営に活用できなかったのだろう。(藤倉氏の経歴については「ウィキペディア フリー百科辞典」から引用)
■平成27年4月26日執行(定数9人)
(立候補届)
・現職1人、平均年齢61才
・新人8人、平均年齢54才
・計9人、平均年齢55才
・最高年齢64才:、最少年齢26才
(選挙結果)
無投票当選
・現職1人
・新人8人
・新人の議席占有率88.9%
※コメント
「財政再建団体(現在は財政再生団体)」になって8年後の市議選。現職の藤倉肇氏(前夕張市長)は立候補せず。新人の議席占有率が9割近くまで上昇。議員の平均年齢も55才と若い。夕張市の再生は皆さんの肩にかかっている。めげずに頑張ってほしい。しかし無投票とは…。議員のなり手がいないほどに若い世代の人口が減っているのか。夕張市の人口減少問題は次号で特集する。※次号に続く。
(代表 天野 市栄)