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選挙と民主主義(第13編)~利益誘導政治は健在か?(その1)

2012年12月29日ニュース

 今回の衆議院選挙は自民党の圧勝で幕を閉じたわけですが、自民党の古い体質が顔を出してきたように感じられます。それは「防災・減災」に名を借りた公共事業予算の膨張です。自公政権は2013年度予算までのつなぎとして10兆円規模の補正予算を編成する方針を固めましたが、そのほとんどは公共事業予算になりそうです。

 さて、公共事業予算のばらまきを中心とする利益誘導政治は自民党政権の専売特許ですが、今回の衆議院選においても、その力を遺憾なく発揮し議席獲得に貢献したようです。特に地方の選挙区では、有権者の多くは利益誘導政治の復活を期待して自民党の候補者に一票を投じたと考えています。利益誘導政治の象徴的な選挙区が新潟5区です。この新潟5区は「日本列島改造論」を唱え、地方への公共事業の誘導による地域振興を掲げ確固たる政治基盤を築いた故田中角栄氏の選挙区です。今回の衆議院選では、故田中角栄氏の娘であり文部科学大臣の田中真紀子氏(民主党公認、前職)と故田中角栄氏の後援会「越山会」幹部であった長島忠美氏(自民党公認、前職)が激しい選挙戦を繰り広げましたが、軍配は長島氏に挙がりました。長島氏の勝因は早くから地元に入り、旧山古志村長や現職国会議員として新潟中越地震の復旧・復興対策に取り組んできた実績を示すとともに、公共事業の必要性・重要性を訴えてきたことが功を奏したようです。一方の田中氏は、普段から地元の要望・陳情(多くは公共事業予算の獲得)を聞くこともなく、選挙期間中に父の実績を訴えるだけでは、かつて父を支持した有権者の票をつなぎとめておくことは難しかったようです。良くも悪くも、この公共事業による利益誘導が国政選挙における地方選挙区の候補者にとっては議席を得る上で効果的な戦術になっていることは間違いがないようです。

 このように国政選挙での地方選挙区の有権者が自分達の代表者を選ぶ際に重視していることは、議員になってからの地元(選挙区)への貢献度です。その貢献度を計る端的なモノサシが地元への公共事業予算の獲得です。故田中角栄氏が刑事被告人として訴追されながらも、選挙のたびにトップ当選できたのは、地元に巨額の公共事業予算を持ってきた功績によるものです。しかし、日本経済が低成長期に移行した現代においては、公共事業による利益誘導政治の限界が指摘されています。※次号に続く。

(代表 天野市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者