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小説「廃屋の町」(第81回)

2017年10月4日ニュース

「井上でございます。家内の君子がいつもお世話になっています。仕事では、男の人の前で話す機会が圧倒的に多いんですが、今日は六光学会婦人部の集会にお招きをいただき、こんなにも大勢の女性の前で、しかも美人さんの前で話すことになって、大変、緊張しています。暫しの間、皆さんのお耳を拝借したいので、よろしくお願いします。まずもって、この度の市長選挙にあたり、六光学会さんからご推薦をいただきましたことを、この場をお借りして感謝申し上げます。さて、皆さのお手元に配布されています市長選のパンフレットをご覧いただきたいと思います。刷り上がったばかりの印刷物で、まだインクの匂いが残っているようです。どっちが表か裏かは分かりませんが、『継続こそ力なり!市政の更なる前進を目指して!』と書いてあります。新田沼市が誕生して間もなく8年が経過しようとしていますが、『中心部ばかりが栄え、周辺部は寂れるばかりだ』という声が時々、私の耳に入ってきます。こんな声を聞くたびに、中心部の旧田沼市地域と周辺部の旧三か町村地域とで、いまだに住民意識のずれが解消していないなあ、と感じることがあります。二年後には合併10周年を迎えます。記念すべき10周年を約10万人の市民が心を一つにして祝うことが住民意識のずれを解消し、これからの田沼市を前進できるのではないかと考えています。間もなく迎える合併10周年を祝うのにふさわしい象徴的な、そして田沼市の輝ける未来を創造するためにも、文化会館と総合体育館の建設が必要だろうと考え、私の選挙公約の目玉事業として挙げました。パンフレットをひっくり返していただくと、「田沼市の輝ける未来を創造するための六つの光」ということが書いてあります。この『六つの光』という言葉は、六光学会さんの名前を拝借させて頂きました。主要な新年度事業が6項目に分類され掲載されています。今ほど言った文化会館は『文化』に、総合体育館は『健康』に分類されています。高齢化が急速に進む中で、文化的で健康な生活を送っていただく上でも、必要な事業だと考えています。もちろん、冬期間の生活道路を確保する上で必要な消雪パイプの整備についても増額しております。また、少子化が進む中で、子育て世代の負担を軽減する意味で、子育て世帯の住宅建設や取得資金の助成、保育料の無料化などを新規事業として挙げました。最後に、文化のところにある『まちなかコンビニ塾』ですが、これは高齢者向けの趣味講座を開設しようというものです。この事業は、妻、いや失礼、婦人部長さんから提案をいただき、新年度事業に加えました。六光学会の会員の皆さんの中には玄人はだしの腕前を持っている方が大勢いると聞いています。その腕前を趣味講座の講師になって活用してもらいたいと考えています。時間があれば、もう少しお話をさせて頂きたいのですが、婦人部長さんから、そろそろ話を閉じてくれとの合図がありましたので、私の挨拶はこれで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました」
 パチ、パチ、パチ 
 井上市長の選挙公約が掲載されたパンフレットは六光学会の婦人部によって市内の会員世帯を中心に配布された。また、井上事務所に派遣された建設会社の社員によって、山田良治県議会議員の後援会報と一緒に市内の全世帯にポスティングされた。更には、居酒屋「寄り道」にも、パンフレットが井上市長の選挙ポスターと一緒に届けられた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者