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市民オンブズマン通信14.1~住民監査請求は予想どおりの棄却!(その1)

2016年12月1日ニュース


【地域政党日本新生イメージキャラクターウィズ」君】

 9月16日付けで阿賀野市市民オンブズマンが行った住民監査請求(阿賀野市職員措置請求)の結果通知書が、先月、請求人(筆者)に届いた。市長交際費の支出及び市長公用車の使用に関する2件の住民監査請求を行ったが、2件とも予想どおりの請求棄却だった。結果通知書は市のホームページ(監査委員事務局)に掲載されているので下の扉からアクセスしていただきたい。
 市長交際費の支出に関する住民監査請求
 市長公用車の使用に関する住民監査請求
 この2件の住民監査請求は筆者が阿賀野市長を務めた4年間(H20~H24)の経験を基に行ったものである。以下、請求結果通知に対する筆者のコメントを申し上げたい。
〇市長交際費の支出に関する住民監査請求(6件)について
 1.阿賀野市遺族会(地区遺族会)が市内の寺院で行った戦没者の慰霊祭・供養祭(計3件)

 監査請求で引用した箕面忠魂碑・慰霊祭訴訟判決(平成5年2月16日 最高裁判決)の一部(都合の良い部分?)をそのまま借用して、政教分離原則・政教分離規定に違反するものでないとしている。また、遺族会の性格についても同様に最高裁判決の一部を借用して「宗教上の組織若しくは団体ではない」としている。従って、市長の法要参列・供養祭への供物料(交際費の支出)は「支出の意図、目的は戦没者を追悼し、慰霊し、遺族を慰めることであったとみるべきであり、支出された金員もそれぞれ5千円、3千円と微小で社会通念上妥当とされる範囲である。よって、この公金支出については不正不当であるとは解せない。」としている。
【筆者のコメント】
 請求人の監査請求の趣旨や陳述(陳述に代えて陳述書を提出)は無視されて、監査を受けた総務部市長政策課の事情説明や資料がそのまま採用されて監査委員の判断(請求棄却)となったようだ。戦没者の追悼や慰霊は市主催の公式行事として毎年、行われている。同じ趣旨・目的で行われる遺族会主催の慰霊祭・供養祭に二重に公金を支出する理由は何であろうか。5千円、3千円が微少だと言うが、請求人は金額の多寡を問題にしているのではない。遺族会への公金支出の大義が別にあるのではないかという点を指摘している。

 2.阿賀野市連合遺族会評議員会への交際費支出(2件)
 監査結果では「総会開催に係る交際費からの祝儀1万円の支出であるが、市長等の来賓に対して、この種の会合への列席を要請する場合に、参加費を記載せずに招待状を送付することや、それにも関わらず一定の参加費が支払われることは、 通常行われていることであり、案内状に参加費の記載がなかったとしても、1 万円を限度として参加費を支払うことは、なお社会通念上儀礼の範囲に留まるものというべきである。よって、この件についても違法・不当と解釈はできない。」としている。
【筆者のコメント】
 今回、監査請求の対象にしたのは平成27年4月21日及び平成28年4月21日に開催された「阿賀野市連合遺族会評議員会」への交際費の支出である。平成27年の評議員会は13時30分に福祉会館(公共施設)で行われている。平成28年の評議員会は10時に福祉会館(公共施設)で行われている。なお関係する市長公用車の運転日報を見ると平成27年の評議員会は13時20分から14時50分、市内8キロ、平成28年の評議員会は9時50分から10時20分、市内3キロの運行記録が載っている。評議員会の開催場所と評議員会参加のために使用された市長公用車の運行記録との不整合から2つの疑問が生じる。
 ●どうして昼間の会議に出席するのに祝儀がいるのか。
  筆者の経験則から照らし合わせると、評議員会は飲食(懇親会)を伴う会合であったのではないかと思われる。懇親会付きの会議は15時過ぎから行われることが多い。また懇親会付きの会議は通常、市内の料亭を会場にして行われる。
 ●どうして同じ場所で開催された会議なのに公用車の走行距離に違いが生じたのか。
  市役所と福祉会館との往復の距離は3キロほどだ。平成27年4月の評議員会(13時30分~)での公用車の走行距離は倍以上の8キロである。場所を変えて懇親会が行われたものと推測される。一方、平成28年4月の評議員会(10時30分~)の懇親会も別会場で行われたものと推測される。同日夕方の市長公用車の運転日報を見ると17時15分から17時45分、市内15キロの運行記録が残っている。僅か30分の間に走行した距離が15キロという点も不自然には感じるが…。昼間は会議に出席するだけ、夕方に懇親会場に向かったのではないかと考えている。
 筆者の経験則から照らし合わせると会議への出席だけで祝儀(公金)を支出することはあり得ない。この2つの会議は懇親会付きの会議であったと思われる。祝儀の支出名目は懇親会の参加費である。筆者は市長が懇親会付きの会議に出席することを否定していないし、そのための交際費支出を否定しているものではない。筆者自身も市長時代に懇親会付きの会議に出席していたし、市長交際費の支出も認めてきた(祝儀袋の表書は、「御祝 阿賀野市」であったと記憶している。)。懇親会付きの会議であったとすれば、市長政策課はそのことを説明すればよいものを、なぜ隠すのであろうか。それとも公職選挙法で禁止されている違法な寄付だったのだろうか。

 3.第44回安田中学校卒業生 平成28年歳祝い・ 同期会への交際費支出(1件)
 「市長が地域の重要な行事の一つとして公式に参加しても不合理ではない。 さらに参加費として支払った1万円も経費相当分としての範囲内の金額であり、社会通念上、高額すぎる負担であるとはいえない。 」としている。
【筆者のコメント】
 市民オンブズマンの活動に深い理解と協力を頂いているくだんのY氏は安田中学校の卒業生だ。Y氏によれば、歳祝いは毎年正月に行われ、Y氏も40歳になった時に歳祝いに参加したという。Y氏が参加した歳祝いには当時市長だった本田富雄(故人)氏が出席したという。本田氏が懇親会費を公費で払ったのか私費で払ったのかは不明であるが、本田氏は旧安田町長をしていた頃から毎年、歳祝いに出席していたという。本田氏は旧安田町長を長く務めた後、合併時に行われた平成16年4月の市長選で初当選し阿賀野市長を1期務めた。(後任の市長は筆者)
 監査結果報告書によれば、今年1月2日の歳祝い・同期会の招待状が昨年9月吉日に実行委員会から市長あてに届けられたという。実は私が市長をしていた4年間にこの「歳祝い・同期会」の案内文書を一度も見たことがなかった。前前市長の本田氏は安田中学校の卒業生だったが、前市長の筆者は笹神中学校の卒業生、現市長の田中氏は水原中学校の卒業生だ。
 また監査報告書では「特定の年齢に達したことを記念する市の公式な行事としては、成人式や敬老 会などがあるが、本件歳祝い・同期会は市の主催事業ではない。 しかしながら、当事者らによる自主運営とはいえ、40歳という地域活動の中核を担うことになる年齢に達した者同士が一堂に会し、お互いの情報を交換 し、健康を祝し、今後の活躍を誓う、節目の行事として長年慣例として継続してきたものである。また、規模において旧安田町の全部を対象としている点についても、単なる私的な会合とは趣を異にするものであり、市長が地域の重要な行事の一つとして公式に参加しても不合理ではない。」としているが、どうして筆者が市長だった4年間は歳祝いの案内がなかったのだろうか。それとも案内はあったが、秘書が市長の目に触れないように密かに処分していたのだろうか。※次号に続く。

(あとがき)
 ・市長交際費の支出に関する住民監査請求の結果に対する感想を申し上げれば、請求人(市民)の声を無視し、被請求人(監査対象部局:市長政策課)の説明を鵜呑みにして下された判断であったと感じている。監査委員の良識ある・誠意ある判断を期待して行った住民監査請求であったが、期待(はかない期待ではあったが…)は見事に裏切られた。
 ・最後に、15頁に及ぶ監査結果通知書を読んで気づいた点を申し上げたい。
 まずは監査対象部局が監査委員に対して行った説明は事実の詳細な説明と交際費の支出手順であり、それらを正当化するために都合の良い裁判例 (横浜地裁平成15年3月19日判決)や後で市が制定した「阿賀野市長交際費の支出及び公表に関する要綱(平成28年7月15日告示第165 号)」を根拠にしている点だ。特に後者の要綱は市民オンブズマンが市長交際費についての情報公開請求を行った後に、市当局が慌てて制定したものであり、今回の公金支出を正当化する根拠にはなり得ない。次に、監査結果については、請求の対象にしていない交際費のうんちく(概念、取扱い、支出事務)に紙面の多くが費やされ、肝心の市長交際費支出の適否の判断については請求人が引用した箕面忠魂碑・慰霊祭訴訟判決や最高裁判所判決平成18年12月1日を借用して(「前述したとおり」とあるが?…)、公務であり適法な公金支出であったと結論付けている。もしかして、監査結果通知書の原案は監査を受けた市長部局が作ったのではないか?政治資金と同じように、市長交際費についても「黒を白」と強弁すれば「白」になってしまうのかもしれない。話は変わるが、富山市議会議員の不透明な政務調査費の支出に端を発した政務調査費の不正支出がインフルエンザのように全国的に蔓延しているが、この先、どうなるのか。
(代表:天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者