政局自論8.4~動き出した利権まみれの「道の駅」(阿賀野市下黒瀬地内)開発構想(その4)
○「道の駅」(下黒瀬地内)開発の是非は、来春の阿賀野市長選挙(2016年4月)で争点化されるべきだ。
私は、先月7日(9月7日)に事務所にて2016年4月実施予定の阿賀野市長選挙立候補することを正式に表明した。(詳しくはこちらの過去ログを参照)当日は、地元地方紙(新潟日報)をはじめ全国紙(読売・朝日・毎日)と地域コミュニティー紙「あがの新報」の各記者からご出席をいただいた。遠路ご足労いただいた記者の皆さまには感謝を申し上げたい。
さて記者発表の席で、「あがの新報」のT編集長から「道の駅」に関する質問をいただだき、私は「(道の駅については)白紙であるが、事業を進めることにしても、現在の予定地では下黒瀬では問題があるので他の候補地も含めて再考したい」と回答した。阿賀野市在住の方であれば、今月15日の新聞各紙に折り込まれて配布された「あがの新報」をご覧いただきたい。(阿賀野市在住でない読者の方は、後日ネットに掲載される記事をご覧いただきたい。なお、「あがの新報」でネット検索されたい。)
私の発言の趣旨はこうだ。
○下黒瀬地区の「道の駅」はやらない。
・公益(バイパス建設)よりも私益(開発予定地の売却益と公共工事を独占受注して一儲を企む地元建設業者の私利私欲)を優先するしがらみだらけの下黒瀬地内の「道の駅」は不平等・不公平な税金配分の典型事例だ。
○国道バイパス沿いにどうしても「道の駅」が必要ということであれば、国道49号バイパスと国道460号が交差する(交差点)南安野町地内にある国道460号・JR羽越線・市道若葉町安野町線・住宅団地に囲まれた約10ヘクタールの土地(現況は田んぼ)に整備する。
・私が市長時代に、上記の土地に民間デベロッパーによる大型商業施設の開発計画が地元地方紙に報道されたことがあった。私は当時、下黒瀬地内の「市民交流エリア(道の駅)」の整備計画の策定に向けた検討を始めていたことからこの開発計画については静観していたが、その後どうなったのか気になるところである。当時の私は「民間は目のつけどころが違うなー。」と感じた。というのは、この場所に商業施設を整備すれば、国道49号沿線に位置する阿賀野市・五泉市・阿賀町の商圏に加え国道460号が阿賀野川を越えて伸びる先にある新潟市秋葉区の商圏も取り込めるからだ。一方、「道の駅」予定地の下黒瀬地内(約9ヘクタール)に大型商業施設を整備した場合はどうか。国道49号が阿賀野川を越えると新潟市江南区に入る。江南区の国道49号沿いには大型商業施設が3つもある。しかも、阿賀野川を越えてすぐのところに大型商業施設の「PLANT」がある。下黒瀬地内の「道の駅」は民間開発には不向きな土地柄だ。税金を投入した公共開発にしか使えない土地だ。
阿賀野市内に「道の駅」がどうしても必要だということであれば、私は、南安野町地内の約10ヘクタールの土地に大型商業施設を誘致して、施設内・敷地内に市の観光・産業の情報発信拠点「道の駅」を整備した方が良いと考えている。税金による負担は少ないし「道の駅」に商業施設の来店客も取り込めるからだ。
余談ではあるが、今や全国の国道沿線にある「道の駅」は、かつては建設省(現国土交通省)が単独で設置・運営していた。今は自治体が設置する産業振興施設に併設する方式に変更になった。新潟県には国内最初の「道の駅」がある。新潟市から阿賀野川を越えて新発田市に伸びる国道7号バイパス(4車線)沿いに「道の駅」第1号がある。場所は新潟市北区だ。興味のある方は見学いただきたい。
※この項終わり。近日中に編集の上、「政局自論8」というタイトルで「ライブラリー」に収納予定。
(あとがき)
田中市政になって市が発注する2件の大型公共事業の入札が執行された。一つは市立水原中学校新築工事(平成25年3月竣工、総事業費約32億円)。2つ目は市立あがの市民病院(旧水原郷病院)新築工事(平成27年9月竣工、総事業費用約100億円)だ。残る3つ目の大型公共事業が「道の駅」だ。
中学校や新病院(公共施設)の建設工事は「建築一式工事」として入札・発注された。一方、「道の駅」の方は、土地区画整理方式で開発が行われるため、土地区画整理組合(公的団体)が土地造成工事を行い、造成した施設用地を公共セクター(市)と民間セクター(民間企業)がそれぞれ取得して施設を建設するものと思われる。土地造成工事は「土木一式工事」として入札・発注される。公共施設の建設工事は、施設を建設する「建築一式工事」と施設用地を造成する「土木一式工事」に分けられる。中学校や新病院はいずれも現在地での建て替えだったため土木工事は伴わない「建築一式工事」として入札・発注された。建設業者にとって見入り(粗利益)の大きいのは土木工事の方だ。「建築工事」と比較して資格を持った建設作業員がいらないことや資材の調達コストの圧縮が比較的容易だからだ。阿賀野市が公表している「平成27年・28年度入札参加資格名簿」を基に「建築一式工事」と「土木一式工事」のAランク(施工技術レベルが最高ランク)の業者数を調べると、「建築一式工事」の施工業者数は107社。阿賀野市に本店のある業者数はわずか7社(阿賀野市内業者が占める割合は6.5%)。「土木一式工事」のAランク業者数は153社。阿賀野市内の業者数は14社(阿賀野市内業者が占める割合は9.1%)だ。
水原中学校の校舎・屋内体育館や新病院の建築工事の入札ではJV(共同企業体)方式にしたものの、市内のAランク業者が少ないため、市内建設業者と県内ゼネコン(市外の業者)とのJVとなった。その点「道の駅」の方は土木工事が主体となるため利幅が大きい。発注単位を分割すれば小規模な建設業者も入札に参加できる。しかも区画整理組合が行う土地造成工事の入札は市の公共工事入札要綱に準拠して行われるため、入札参加資格を市内に本店のある業者に限定すれば市外から業者が入ってくることもない。このため市内の建設業者の関心・期待はおのずと高くなる。(代表 天野 市栄)