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評論「政治とカネ」(第5回)

2018年11月7日ニュース

 政治家(公職に就いた者)に渡されたカネについては、「収賄罪」や「あっせん利得罪」が成立するケースがあります。あっせん利得罪は第三者の依頼を受けて、行政機関の公務員に口利きをし、その見返りに報酬を得ることを禁じるために、2000年に制定された「あっせん利得処罰法」に基づく刑罰です。収賄罪はその職務に関して賄賂を受け取る、賄賂の要求や約束をした場合に成立しますし、あっせん利得罪はその権限に基づく影響力を行使して行政機関の公務員に職務上の行為をさせるよう働きかけた場合に成立します。

 政治家による最近のあっせん利得処罰法違反疑惑として、2016年1月に甘利明経済財政担当相(当時)や秘書がUR(独立行政法人都市再生機構)の道路用地買収に関して「口利き」を行い、業者から多額の金品を受領していたことを報じた週刊誌による報道が思い出されます。甘利氏がURを所管する国土交通大臣ではなかったことから、成立要件を満たさない(権限外)として不問に付されたと記憶しています。「収賄罪」や「あっせん利得罪」も犯罪の成立に必要な「職務との関連性」や「権限」が立件上の大きな壁となって、結局、政治資金規正法違反の軽い処罰(罰金)で終わってしまうケース多いように思われます。政治献金や予算など政治家に関係の深いとお金の話については「首長が持つ二つの財布(カネ)」で詳しくお話します。

 ここで、東京佐川急便からヤミ献金を受け取った元新潟県知事の金子清氏による東京佐川急便に対する「行政上の便宜供与」について考えてみますと、思い当たる事があります。東京佐川急便の営業拠点開設のために提供された土地(田んぼ)についてです。圃場整備(区画整理)して間もない農地(田んぼ)が転用され、開発用地に提供されたものと記憶しています。圃場整備とは、点在する小区画の田んぼを所有者(耕作者)ごとに集め、大区画の田んぼに整備する公共事業(農業土木事業)です。事業費は国・県・市町村・農家の四者で負担しますが、大規模経営の農家(担い手農家)に田んぼを集約する場合は、国(農林水産省)から交付される補助金(税金)によって農家負担がほぼゼロになるケースもあります。詳しくは「農業と建設業の親和性(土地改良事業)」で説明します。

 くだんの佐川急便の営業拠点は高速道路と国道が交差するインターチェンジ付近にあります。物流拠点としては最適な場所ですが開発前は農地でした。圃場整備事業(公共事業)は農業振興地域内にある農地を対象に行われますが、整備後、農業以外の用途への転用は厳しく制限されています。その農地がいとも簡単に農業振興地域から外され、農業以外の事業用地に転用されたのです。なお農業振興地域の指定や解除の権限は都道府県知事にあります。事件がマスコミ報道された当時、私は県庁の本庁職場に勤めていました。私はそれまでの間、農地・農業行政の職場に6年間在籍していたこともあり、農地に対する開発規制に関しある程度の知識を得ていました。金子清氏に対する東京佐川急便のヤミ献金事件の報道に接し、農業振興地域から除外と農地の転用許可に関し知事による行政上の便宜供与が行われたのではないかと疑念を持ちました。

 「それじゃ、A市の市長を経験したあんたの場合、便宜供与はなかったのか?」と質問されそうですが、「支持者から依頼を受けたことはありますが、天地神明に誓って、そのような事は一切ありませんでした」とお答します。
(作:橘 左京)

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評論「政治とカネ」(第4回)

2018年11月5日ニュース

 国政についての話はここで一旦閉じて地方政治に目を向けて話を続けます。私の約26年間の県職員時代を振り返ってみますと「政治とカネ」にまつわる出来事として印象深く記憶に残っている事件があります。1993年に発覚したゼネコン汚職です。ゼネコン各社から中央及び地方政界に多額の賄賂が送られていた事件ですが、金丸信元自民党副総裁の脱税事件で押収された資料をきっかけになり明らかになりました。この事件では、東京地検特捜部による捜査の結果、建設相、宮城県知事、茨城県知事、仙台市長が逮捕されました。

 また、これとは別に金丸氏は東京佐川急便から5億円のヤミ献金を受領したとし、政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けました。金丸氏に対する東京地検の寛大な処分(略式起訴)に対し、国民から厳しい批判の目が向けられ、検察庁の表札にはペンキがかけられたことが思い出されます。ちなみに検察機構は法務省が所管していますが、政界汚職に対し、過去には検察当局に対する法務大臣の指揮権発動が疑われたこともありました。寛大な処分で終わった金丸氏は世論の反発を受け、衆議院議員を辞職しました。この東京佐川急便によるヤミ献金疑惑は地方政治にも波及しました。当時、新潟県知事を務めていた金子清という方をご存知でしょうか。1989年6月に君健夫前知事の病気辞職に伴う県知事選挙で初当選しましたが、1992年9月に発覚した東京佐川急便によるヤミ献金事件により、任期途中で知事を辞職しました。その後、金子氏は政治資金規正法違反で在宅起訴され、東京地裁で禁固1年・執行猶予3年の有罪判決を受けています。

 国政であれ地方政治であれ、そもそも、個人や団体が政治家に政治献金(政治資金規正法では「寄附」)をする目的・意図は何でしょうか?政治献金をする側からすれば、行政からの見返りや有利な取り扱いを期待しているものと考えられます。もう少し詳しく説明しますと、自分(自分達)に対する優先的な補助金(税金)の分配や寛大なる許認可権の行使などを通じた行政上の便宜供与への期待です。政治献金をした民間人(民間団体)と政治献金を受け取った政治家(政治団体)との間に「ギブ&テイク」の関係が生まれます。献金をした側からすれば、「ギブ(与える)」は寄附(カネ)であり、「テイク(貰う)」は行政上の便宜供与ということになります。また献金を受けた側からすれば、「ギブ(与える)」は行政上の便宜供与であり、「テイク(貰う)」は政治献金(カネ)であり、選挙の際の集票マシンとしての期待です。ここで注意したい点は、政治献金が行政上の便宜供与の見返りとして、政治家本人に渡された場合、状況・態様によっては贈収賄になるケースがあります。また集票行動についても、有権者に金品を配ったり飲食の提供をすれば公職選挙法違反の買収になります。

 さて、行政上の便宜供与を行使できる立場の政治家とは誰のことでしょうか?国政であれば政務三役ですし、地方政治であれば首長(都道府県知事、市区町村長)です。これら行政機関の長やそれに並ぶ政治家(政務三役や首長)は行政機構の持つ予算配分権(編成権と執行権)と強大な許認可権とを掌握・行使する立場にある人達だからです。一方、行政上の便宜供与を行使できる立場にない(行政機関の役職に付いていない)国会議員や地方議員の場合は仲介役として、権限を持っている首長や行政機関の担当職員(幹部職員)に対し「口効き」を行います。依頼者から受けた口利きの対価はカネ(政治献金)や票です。政務三役であれ首長であれ、いずれも公選、すなわち有権者よる選択(投票)によって、公職に就いた人達(政治家)です。
(作:橘 左京)

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評論「政治とカネ」(第3回)

2018年11月2日ニュース

 将来を嘱望されて官邸入りする官僚や政治家は、官邸の主である総理や官房長官の意向を探ることに神経を使うことから、出世のための重要なファクターとして「忖度」が必要となります。官邸での勤めを終えて経済産業省に戻った官僚の柳瀬氏は「次官待ちポスト」の審議官に就任していましたが、残念ながら次官になることなく定年前に退官されました。柳瀬氏の退官について、官邸(内閣官房)や経産省は「加計学園問題」との関連を否定していますが…。首相秘書官として官邸に入る官僚は出身省庁のエリート官僚で、官邸勤めを終えて出身省庁に戻れば将来の次官候補となります。テクノクラートの官僚にとって、「官邸の最高レベル」、「総理のご意向」を「忖度」しないと出世は望めません。なぜでしょうか?それには2014年5月に内閣官房に設置された内閣人事局の存在があると考えています。約600人の官僚人事を一元管理している「内閣人事局」を意識しない官僚はいないでしょう。

 首相秘書官として官邸入りする官僚だけでなく、政務三役(大臣、副大臣、政務官)と接する機会が多い官僚もその傾向が強いのではないでしょうか。なかには、将来、出身県の知事になりたいと考えている官僚もいるかもしれません。知事選に立候補した時の候補者の経歴を考えると、〇〇省庁の局長や外局の長官というような役職で辞職して選挙に出れば、国家機関の枢要なポスト経験者として、必要な「三ばん」(選挙で当選する上で必要な三つの条件(地盤・看板・鞄)の一つである「看板」が用意できます。「三ばん」については、私の経験も踏まえて「義理と人情の地方選挙」のところで詳しくお話します。

 一方、政治家である萩生田氏については、9月に行われる自民党総裁選に安倍首相が当選すれば、細田派(総裁の出身派閥)に所属していることもあって、総裁選後の内閣改造人事で副大臣ポストが与えられているのではないかと考えています。萩生田氏の経歴を調べてみて気づいたことは、福田内閣、続く麻生内閣で文部科学大臣政務官をやっていました。ですから、萩生田氏には文部科学副大臣ポストが与えられるのではないでしょうか。萩生田氏は、2009年8月に行われた第45回衆議院議員総選挙、民主党が政権を奪取した選挙ですが、同じ選挙区(小選挙区)から立候補した民主党候補に敗れ、また重複立候補していた比例東京ブロックでも復活できずに落選しました。2012年12月の衆議院選までの浪人中に、萩生田氏は千葉科学大学の客員教授を務めています。この千葉科学大学を運営している法人が、ほかでもない学校法人「加計学園」です。安倍総理、萩生田氏、学園理事長の加計孝太郎氏と仲睦まじく映っている写真を何度かニュース報道で見た記憶があります。この写真が「インスタ映え」するかどうかは別にして…。なお、「忖度」という言葉は「インスタ映え」と並んで昨年の「流行語大賞」を受賞しました。

 「加計学園問題」に話を戻しますと、加計学園による愛媛県今治市での獣医学部の新設計画は国家戦略特別区域諮問会議で認められました。会議の構成員は国会議員(閣僚)5人と民間人(有識者)5人の10人で構成されています。事務方として萩生田副官房ら政治家と首相秘書官の柳瀬氏はじめ関係省庁(文科省、農林省など)の官僚がサポート役として、諮問会議を支えています。議長は安倍晋三内閣総理大臣です。閣僚では菅官房長官、麻生太郎財務大臣、梶山弘志氏・茂木敏充氏の両内閣府特命担当大臣、いずれも、安倍首相の側近です。民間人の有識者の人選も内閣官房で行われていますから、首相の意向に沿った民間人の起用は充分に考えられます。諮問会議の議長が総理ですから、首相に人事権を握られている閣僚はじめ安倍首相のシンパとして諮問会議に参画している民間人は、諮問会議の議論のなかでも自ずと、総理に対する「忖度」が働いても不思議ではないと思います。「加計学園問題」は、国政における政治家・官僚・民間業者の癒着ぶりを象徴するような出来事でした。もちろん「森友学園問題」も同じ構図です。
(作:橘 左京)

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評論「政治とカネ」(第2回)

2018年10月31日ニュース

第1章 政治と行政の関係
 ~「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」

 最初に「政治と行政の関係」についてです。「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」という言葉がありますが、誰が言った言葉かお分かりになりますね。そうです、前文部科学省事務次官の前川喜平さんが「加計学園問題」に関して述べた言葉ですね。「加計学園問題」は「森友学園問題」と並んで、政治家と特定業者との癒着ぶりを示す事件として国民的な関心事となりました。国会では両問題とも与野党の論戦が交わされ、マスコミでは「モリ・カケ問題」として連日、大きく取り上げられました。

 ここで、「加計学園問題」について概略説明しますと、安倍首相の盟友である加計孝太郎氏が経営する加計学園グループの岡山理科大学が国家戦略特区に指定された愛媛県今治市に設置した獣医学部の新設計画をめぐる問題のことです。内閣府(官邸)が安倍政権の進める岩盤規制改革の一つとして、長年、獣医学部新設を認めてこなかった文科省の取扱いにメスを入れたのです。朝日新聞が「官邸の最高レベルが言っている」、「総理のご意向」などと記された文部科学省の文書の存在を報道したことが端緒となって、国会を舞台に与野党の論戦が始まりました。

 この問題に関して、首相官邸に入った行政官(官僚)と政治家(官房副長官)のキーパーソンが何人かいます。官僚では、元建設官僚の和泉洋人首相補佐官と現経済産業官僚の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)二人です。和泉氏は前川氏と接触した人物で、本人は否定していますが、前川氏に対して「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」との発言があったとされ、前川氏は和泉氏から獣医学部新設を急ぐよう直接要請されていたことも明かにしました。一方、柳瀬氏については、愛媛県や今治市の職員、学園幹部との面会の席で、加計学園による獣医学部を新設する計画について「本件は、首相案件」と述べたとの愛媛県が作成した記録文書の存在が明らかになりました。次に政治家による関与についてですが、文部科学省が国家戦略特区諮問会議に提出した文書に対して、本人は否定していますが、萩生田副長官(東京二四区)から修正の指示があったとのメールの存在が明らかになりました。
(作:橘 左京)

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評論「政治とカネ」(第1回)

2018年10月29日ニュース

〔レジュメ〕
〇はじめに
〇政治と行政の関係
・「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」
〇公益よりも私益を優先する政治
・みんなの幸せよりも自分の幸せが第一!
〇首長が持つ二つの財布(カネ)
・「税金」と「政治献金」、「入口は厳しく、出口は甘く」
〇農業と建設業の親和性(土地改良事業)
・税金に依存した地方の産業構造
〇政治屋(ポリテンション)と政治家(ステーツマン)
・「次の選挙」(短期)か「次の世代か」(長期)
〇義理と人情の地方選挙
・「理念(政策)」よりも「感情・打算」が支配
・投票率低下が誘発する利権政治の危険
〇有権者と政治家の関係
「子は親の鏡、親は子の鑑」
〇おわりに

はじめに
 皆さまにおかれましては、休日のお休みのところ、また猛暑のなか、ご参加を頂きありがとうございます。今ほど、「英進堂」書店さんの諸橋店長さんからご説明頂いたとおり、こちらの店舗が10月に、同じ秋葉区内ですが、移転することになりまして、こちらの店舗での営業が9月5日までということで「さよならイベント」を開催することとなりました。この「さよならイベント」の一環として、私の著書であります「廃屋の町」の刊行記念講演会を加えていただきました。こちらに「英進堂」書店さんが作成した「さよならイベント」のチラシがありますが、大変綺麗に仕上がっています。最初に開催する企画として、「橘左京『廃屋の町』刊行記念講演会」という、大変、格調高いタイトルを入れていだたきました。改めて、このような機会を提供いただいた「英進堂」の諸橋店長さんには感謝を申し上げる次第でございます。

 一方、私が自宅のパソコンを使って作成した案内チラシがこちらです。私の知人・友人の方には、英進堂さんのチラシと一緒にこちらのチラシも併せて配布しました。「トークℬサイン会」というタイトルになっています。トークの方は「政治とカネ」という生々しいテーマになっていますが、「政治とカネ」という言葉を聞いて連想される幾つかの事件が思い出されます。いずれも当時のマスコミに大きく取り上げられ国民的関心事となった事件です。
〇「ロッキード事件」(1976年)
 内閣総理大臣だった田中角栄が全日空の新機種導入にからみ、受託収賄と外国為替・外国貿易管理法違反の疑いで逮捕された事件
〇リクルート事件(1988年)
 株式会社リクルートが関連会社リクルート・コスモス社(当時)の未公開株を店頭公開前に大物政治家に譲渡していた贈賄事件
〇ゼネコン汚職事件(1993年)
 ゼネコン各社から中央及び地方政界に多額の賄賂が送られていた事件。金丸信元自民党副総裁の脱税事件で押収された資料をきっかけになり明らかになった。
〇日歯連闇献金事件(2004年)
 自民党橋本派が日本歯科医師会の臼田貞夫会長から1億円の献金を受け取りながら収支報告書に記載しなかったため、政治資金規正法違反に問われた事件
〇西松建設事件(2008年)
 西松建設のOBなどを代表とした政治団体を通じて大物政治家などへの違法な献金が行われた容疑で西松建設幹部と国会議員秘書など計5人が立件された事件
「政治とカネ」については私自身の体験や公知の事実を織り交ぜながら、私の考えや見解をお話したいと思います。

 なぜ、こちらの書店で講演会をやるのかについて、少し説明したいと思います。この「廃屋の町」は今年5月に文芸社から出版され、文芸社と提携している全国の書店に1冊ずつ配本されました。新潟県内の書店では長岡市内と新潟市内の4店舗に配本され、「紀伊國屋」さんと「英進堂」さんの2店舗に5冊ずつ、他の2店舗には1冊ずつ配本されました。たまたま私の勤務先が秋葉区内にあったことから、私の著書がどんな状態で陳列されているのか気になって、こちらの書店に確認に行きました。店内の中ほどに文芸社のコーナーがあって、そちらに、私の著書が5冊平積みに置かれていました。早速、店長さんに声を掛けて「私はA市の市長をやっていたBという者です。この本、私が書いたんです」と言って、勤務先の名刺を差し出しました。

 店長さんは最初、怪訝な顔で私が差し出した名刺をじーと見た後、「あーそうなんですか!」という返答が帰ってきました。「廃屋の町」は実名を伏せて、「橘 左京」というペンネームを使って執筆、出版しました。なぜ、実名を使わなかったかについてですが、実名は個人情報にあたりますし、また、作品の内容が犯罪に関わるストーリー展開になっています。犯罪といっても、殺しとか傷害といった事件ではなくて、政・官・業界の汚職に関わるものです。私の実名を出すことによって、私や家族に危害を及ぼす事態に発展しかねません。もちろん、この作品は小説、フィクション、作り話ですが、読んでいただいた方は感じていると思いますが、大変、リアリティーのある内容になっています。実際、この作品をお読みになった店長さんから「この作品はノンフィクション、実話ですか?」という感想をいただきました。私は「はい、半分は事実で、残り半分は事実に基づく推測です」と応えました。

 ノンフィクションということになれば、新聞報道のように、作者の名前だけでなく、登場人物や地名も実名表示が基本だと考えています。内容についても、根拠のある、証拠によって裏付けされた事実でなければならないと考えています。そうでないと、実名を出された方から名誉棄損で訴えられる可能性があるからです。また、作品が犯罪に関わるストーリーになっていることから、帯文にある「真実は内側、裏側、後ろ側にある」ように、事実を裏付ける根拠や証拠は、通常、表に出ていることはなく裏側に隠れています。そのため、見つけ出すことは困難で、探索すれば身の危険をも覚悟しなければなりません。

 前置きが長くなりましたが、レジュメに従って話を始めたいと思います。先程、お配りした資料、A4版のペーパが2枚、お手元にございますね。1枚目は「政治とカネ」と書いてあるペーパ、レジュメですね。2枚目は私がA市の市長をやっていた頃に、毎月発行される市の広報誌に載った市長エッセーです。インターネットをお使いの方なら、今でもA市のホームページにアクセスしていただくと私が書いたエッセー見ることができます。その中から2編を選んで載せました。一つは「全体の奉仕者」です。もう一つは「政治屋と政治家」です。いずれもこれからお話する「政治とカネ」に関連した事柄が書いてあります。

 話を始める前に、皆さんにお願いしたいことがあります。私の実名公表は今回のイベントに限って解禁しました。私の実名に関しては、皆さんの「記憶」に留めていただく分には構いませんが、「記録」はご遠慮いただきと思います。レジュメにはペンネームの「橘左京」と書いてあります。ペンネームの前に「作家」という職業名を書くかどうか、正直、迷いました。現在は、保険の営業社員として生計を立てていますが、この本が沢山売れて、印税で飯を食べていけるようになれば、「作家 橘左京」と書けるのかなと思っていますが…。

 私はこちら新潟市秋葉区の隣にありますA市の市長を1期4年間やっておりました。市長をやる前は県職員として約26年間、正確に申し上げますと25年と9か月間、県庁に勤めていました。事務職として県庁に採用された私は公共事業職場にも9年近く在籍していました。公共事業職場といっても「農業土木」の方です。農業土木については、「農業と建設業の親和性(土地改良事業)」で詳しくお話したと思います。現在は、生命保険の営業社員としての仕事をしています。「ええ!市長をやっていた人がどうして保険屋なの?」と疑問に感じている方もおられると思われますが、この点については、最後にお話ししたいと思います。

(作:橘 左京)

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小説「廃屋の町」著者(橘 左京)によるトーク&サイン会のご案内

2018年8月22日ニュース

〇日 時  8月26日(日) 14時~15時 

〇会 場  「本の店 英進堂」程島店
      新潟市秋葉区程島1876 ☎0250-24-1187

〇トーク  「政治とカネ」
      *「廃屋の町」を10倍楽しく読める「ここだけの話」

 ※申し込み不要 参加費は無料

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小説「廃屋の町」が出版されました!

2018年5月1日ニュース

 これまでブログで連載した小説「廃屋の町」(作:橘 左京)が、この度、書籍化され文芸社から全国出版されることになりました。下記の宣伝用チラシ(PDF)をプリントアウトして、お近くの書店にお持ちいただくことで注文がスムーズに行えます。また、アマゾン、楽天ブックス、セブンショッピングなどのネット書店でも取り扱っています。

 真実は、内側、裏側、後ろ側にある!元市長が明かす闇に隠れた不都合な真実!
 厳冬期の釼岳「野上、俺に代わって生きてくれ!」
 市長選挙間際に発覚した市立病院建設工事の官製談合疑惑
 リークした市職員を粛清「死人に口無しだよ」30年前の談合事件から浮かび上がる冤罪の可能性
(帯文)

 宣伝用チラシ

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小説「強欲な町」(第14回)

2018年3月31日ニュース


[マモン コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』より]

「『圃場整備事業』の農家負担はどれくらいになるんですか?」野上が甘木に尋ねた。
「具体的な負担割合は事業を実施する地区ごとに異なるけれど、一般的には事業費の1割程度と言われているね」
「たったの1割ですか!残りの9割は公費、つまり、税金がつぎ込まれているってことでしょう?」
「実は、農家が負担する1割についても政府系の金融機関から、長期で低利な、そして一定の条件を満たせば無利子の融資を受けられるんだ。もちろん利子分は税金で補てんされるよ」
「ええ、本当ですか!それって、農家負担のほとんどに税金が充てられているということじゃないですか!農地って農家の個人資産じゃないですか!個人資産の価値を上げるために多額の税金がつぎ込まれていることに矛盾を感じますね」
「農家の個人資産とはいっても、農地は製造工場の建屋や機械・設備と同じ生産設備だけどね」
 甘木が言った。
「同じ生産設備とはいっても、投入される税金の割合が違い過ぎますよ!」
 野上が顔をしかめながら言った。
「確かに、今はそういう考え方をする人が多いと思うけど、終戦後の食糧難を経験した人は、農業に税金をつぎ込むのは当然だと考えている人が多いと思うよ。戦後の食糧不足を克服するために、国策として、主食である米の増産政策が推し進められたことが背景にあると考えているよ」
「でも、米が余っている今は米が足りなかった当時とは状況がかなり違っていると思いますが…」
「野上君の言うとおりだね。日本の人口が減少に転じたことや、食の多様化によって、主食である米の消費量が減ったことなどを考えると、米の増産という大義は無くなっているね。それに代わるものとして出てきたのが『食料安保』という考え方だよ」
「『食料安保』って何ですか?」佐久間が甘木に尋ねた。
「正式には『食料安全保障』のことで、人間の生命の維持に欠くことができない食料について、国内においては農業生産を増大させ、これと輸入及び備蓄を適切に組み合わせ、食料の安定的な供給を確保しようという考え方だよ。凶作や輸入の途絶等の不測の事態が生じた場合にも、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保しようという狙いもあるよ」
「食料といっても主食の米は余り気味ですから、米以外の食料の確保が必要だと思いますが…」
 野上が言った。
「そのとおり。現在、米の過剰生産を抑制するために『減反』が行なわれているけどね」
「所長、『減反』って何ですか?」佐久間が尋ねた。
「米の生産調整のことですよ。『減反』という言葉には、田んぼで米以外の農作物を作ることを奨励し、余り気味の米の生産量を減らそうという意味があるんですよ」野上が横から口を出した。
「野上君の言うとおり。でも『減反』という言葉が示すように、かつては米の作付けを制限していた時期があったんだ。米の作付面積を減らすために、田んぼの一部を除外して苗を植え、また稲穂が出始め間もなく収穫期を迎える8月頃に、稲稲を刈り取ってしまう『青田刈り』も行われていたんだ」
「『青田刈り』?もしかして、企業が就職協定の解禁前に優秀な学生に内定を出す『青田買い』はこの言葉から由来しているんじゃないですか?」佐久間が尋ねた。
「佐久間さんの言うとおり。しかし『青田刈り』という言葉には、天塩に掛けて育てた農作物を収穫前に刈り取って廃棄しなければならない農家の悲痛な思いが込められているよ。とにかく、このメールに書いてあることが本当のことなのかを確認する必要があるね。野上君、調査をしてもらいたい」
「はい、分かりました。すぐ、取り掛かります」野上は大きな声で返事をした。
(作:橘 左京)

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小説「強欲な町」(第13回)

2018年3月29日ニュース


[マモン コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』より]

 メールを受信した日時は平成20年2月13日23時49分。メールの発信者の名前は表示されていない。表示されているメールアドレスだけ、ユーザー名がs.okoyr、ドメイン名は@yhoo.co.jpとあった。どうやらヤフーメールで発信されたらしい。甘木が代表を務める「田沼市民オンブズマン」はホームページを開設している。ホームページにはオンブズマンの設立趣意書、代表・副代表のプロフィール、活動日誌を掲載しているほか、不定期だが、オンブズマン通信を発信している。また、市政目安箱を設けてメールによる投書を受け付けている。今回の投書は目安箱に投稿されたものだった。
「佐久間さん、このメールを送った人物が誰か分かりますか?」甘木は佐久間に尋ねた。
「さっぱり分かりません。通常、自分の姓名をユーザー名にすることが多いので、発信者の氏名を特定できるのですが、このメールの送り主のユーザー名は「s.okoyr」となっています。「S」が名前で「OKOYR」が名字だと考えられますが、皆目見当がつきません」佐久間は答えた。
「このメールには、『ヨンイチ』バイパスのインターチェンジ付近の農地を対象にして、県が行った『圃場整備事業』について書かれていますが、『圃場整備事業』ってどんな事業ですか?富山県庁に勤務経験のある所長ならお分かりになりますよね?」野上が甘木に尋ねた。
「圃場整備事業は土地改良事業の一つで、小区画の小さな田んぼを、耕作者(所有者)ごとに集約して大きな区画にする事業だよ。県庁在職中に耕地整備部に籍を置いていたので、ある程度は知っているよ」
「所長は耕地整備部にいたことがあるんですか?」
「事務職として6年間在籍していたね」
「所長が耕地整備部に在籍していた頃、井上市長と一緒に仕事をしたことがあるんですか?」
「同じ職場だったことはないね。耕地整備部に在籍する職員のほとんどは農業土木職で採用された職員で、定年になるまで部内での異動を繰り返している。私のように事務職で採用された職員は一握りで、数年間、勤務すれば他部局に異動になる」
「話を元に戻しますと、所長はさっき、『圃場整備事業は土地改良事業の一つだ』っておっしゃっていましたが、土地改良事業って、何ですか?」佐久間が尋ねた。
「土地改良時事業は農業用の水路や道路を整備したり、田んぼの区画を広げたりして、農地の生産性を上げるために行われる公共事業だよ。土地改良事業は農家からの申請に基づいて行われ、土地改良法という法律が事業の施行手続きや事業費の負担割合を定めているんだ。農林水産省が所管する公共事業だけど、県庁では耕地整備部が担当しているよ」
「所長は耕地整備部に在籍していただけに、詳しいですね」野上が言った。
 甘木は昭和57年に一般行政職(事務職)として、富山県庁に採用され、配属された部局が耕地整備部だった。甘木は通算して6年間、耕地整備部に在籍していた。
「『公共事業』って言われると、道路や河川の工事、それに文化会館などの公共施設の建設しか思い浮かばないのですが…」佐久間が言った。
「そうだね。今、佐久間さんが挙げた公共事業はその地域に暮らす人たちの利便性向上や安全・安心な生活環境を確保・保持するために行われているけど、一方、土地改良事業は農地の生産性向上を目的に行われる公共事業で、受益者の多くは農家だよ」甘木が答えた。
「同じ公共事業といっても、受益者が住民か農家かの違いですね。住民の福祉向上のために行われる公共事業と、農業に携わる人たちのために行われる公共事業の2種類あるってことですね」
 佐久間が言った。
「土地改良事業の全てが農家のためだけに行われている訳ではないよ」野上が言った。
「野上君の言うとおり。農業用車両の通行を目的にして整備する農道(道路)は舗装をすれば、一般車両も通行ができるし、農業用排水路の整備は、田んぼに溜まった水を排水するだけでなく、コンクリートに覆われた市街地に降った雨水の排水も兼ねていることもあるよ」野上が言った。
「農地の生産性向上のために行われる土地改良事業は掛かった費用は農家の人が負担するんですか?」佐久間が尋ねた。
「土地改良事業の事業費は、国、都道府県、市町村、土地改良区の4者が負担しているんだ。負担割合は土地改良法や施行令に規定されている。土地改良区が負担する事業費は、受益面積に応じて農家から賦課金として徴収されるんだ。さっきも言ったように、農道や排水路の整備といった事業の場合、農家だけでなく地域住民にも受益が及ぶので、農家負担はないんだよ。一方、農業用水路の整備や点在する小区画の田んぼを集約して大きな区画に整備する『圃場整備事業』の場合、農家にしか受益が及ばないので、事業費の一部を農家が負担しているんだよ」
 甘木が答えた。
(作:橘 左京)

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小説「強欲な町」(第12回)

2018年3月27日ニュース


[マモン コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』より]

 佐久間はパソコンを起動させ事務所に届けられたメールボックスを開けた。月曜日のメールボックスには週末2日分のメールが溜まっているため件数が多くなる。なかには海外にあるサイトから発信されたと思われる出所不明なメールもある。不明なメールはその場で削除している。うっかり添付ファイルを開くとウイルスに感染することがあるからだ。
「何よ、これ。変なメールばっかりだわ。あれ?このメールは…」
 佐久間は「田沼市立病院建設予定地の利権を暴露する!」という、衝撃的なタイトルに目を留めた。
「所長、これを見てください!」佐久間が甘木を呼んだ。
「どうしたんですか?佐久間さん」甘木は佐久間が開いたパソコンの画面を覗き込んだ。
 甘木は「田沼市立病院建設予定地の利権を暴露する!」という見出しを見て驚いた。
「佐久間さん、添付ファイルをウイルスチェックしてください」
「分かりました」
 佐久間は素早く、ウイルスチェックソフトを起動させ、
「所長、大丈夫です。このファイルにはウイルスが仕組まれていません!」
と言って、ファイルを開いた。

 田沼市民オンブズマン代表 甘木雄一 様

 向春の候、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
 名前は申し上げられませんが、私は田沼市で農業を営んでいる者です。昨年4月に就任した井上将司市長は、就任間もなく、現在地で建て替えるはずの田沼市立病院を『ヨンイチ』バイパスのインターチェンジ付近に移転新築することを決めました。建設予定地の造成工事が昨年12月に終わり、今年の6月からは建設工事が始まるそうです。甘木さんはご存知ないかも知れませんが、病院の建設予定地のほとんどは、田沼市土地改良区理事長の松本正蔵氏が所有していた田んぼでした。周辺の田んぼは6年程前に県が行った圃場整備事業によって、1町(約1ヘクタール)区画の大きな田んぼに整備されていますが、整備前は2反(約20アール)区画や4反(約40アール)区画の小さな田んぼでした。圃場整備前の松本氏が所有する田んぼは県道から離れた場所に点在していました。ところが圃場整備が終わった後に行われた換地処分によって、バイパスインターチェンジ付近の県道沿いに集約されたのです。井上市長は、新病院の建設場所先を集約された松本氏の田んぼに決めました。
 道路沿いの田んぼは、将来的には商業施設や住宅団地などの開発用地として転用される恐れがあります。多額の税金を投入して整備された優良農地は、『農業振興地域』に編入され、農地以外の用途に転用することができない『農用地区域』に指定されます。県道沿いに集約された松本氏の田んぼは『農用地区域』に指定された農地です。転用が禁止されている農地が、なぜ新病院の建設場所になったのか疑問に感じています。税金を使って美田を作っておきながら、その美田に再び税金をつぎ込んで公共施設として開発することは税金の無駄遣いではないかと考えています。
 甘木さんもご存知のとおり、松本氏は井上市長の後援会長を務めています。また、井上市長は富山県庁耕地整備部の技術畑の出身です。これら不自然・不可解な取り扱いの背後に、田沼市選挙区選出の山田良治県議会議員が深く関わっているものと考えています。山田県議は県議会議員に当選して以来、常任委員会は経済建設委員会に所属しています。山田県議が所属する経済建設委員会は土木部や耕地整備部など、公共事業を担当する部局を所管しています。側聞するところによれば、山田県議と県職員時代の井上市長は昵懇の間柄にあったと聞いています。甘木さんはご存知ないかも知れませんが、井上市長の奥さんは山田県議の実妹です。新病院の建設場所の決定は山田県議、井上市長、松本理事長の3人が結託して仕組んだ悪行と考えています。市民オンブズマンの力で、新病院建設予定地の選定を巡る利権の構図を明らかにしてもらいたく、メールしました。
                          田沼市の将来を憂慮する市民Xより
(作:橘 左京)

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