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小説「廃屋の町」(第105回)

2017年11月21日ニュース

 それから3日後、山田県議が市役所に井上市長を訪ねた。
「この前、市長から渡された職員の免許証のコピーを使って、入札課職員15人の交通違反歴を調べたら、幾つか出て来たよ。これがその一覧表だ」山田が井上に紙を渡した。
「違反者が7人もいたんですね。この数字は何ですか?2とか3とか6とか書いてありますが……」
「交通違反の点数だよ。点数に応じて免許停止とか免許取消とかの行政処分が下される」
「坂井盛男のところを見ると25点とあって括弧書きで『酒気帯び』とありますが……」
「坂井盛男ねえ。彼は新潟県内で酒気帯び運転をして捕まったらしいよ」
「新潟県内?」
「何でも奥さんの実家が新潟にあって、その実家に帰省中に酒気帯びで捕まったらしいよ。酒気帯びなら、重い処分が下されるんじゃないのかね?」
「減給ですね」
「懲戒処分を行った場合、マスコミに発表するんだろう?」
「はい、処分を受けた職員の年齢、性別、職名、処分事由が発表されますけど……」
「名前は発表されないの?」
「免職以外は職員の名前は伏せて発表します。それに、一年半前に県外で起こした交通違反ですから、マスコミ発表しても、果たして新聞に載るかどうかは分かりません」
「坂井盛男って職員は、市長や私の政治生命にかかわる情報をマスコミにリークした人物だ。トップの怒りを買ったらどうなるのか、職員に知らしめるためにも、坂井盛男の名前が新聞に載るようにしないと見せしめにならないよ」
「坂井盛男の行政処分が取消2年とありますが、処分を受けたのが一昨年の九月ですから、まだ免許取消期間中ということですね。ということは、坂井は車の運転はできないってことですか?」
「そういうことになるね」
「運転免許の取消期間中に車を運転すれば無免許運転になりますよね?」
「そういうことになるね。酒気帯びで取消2年。取消期間中に無免許運転となれば、行政処分は加重され取消4年になるよ」
「無免許運転で捕まっても懲戒処分は停職だから、マスコミに発表する時には氏名は除かれます」
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者