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小説「廃屋の町」(第98回)

2017年11月7日ニュース

「協会経由で個人献金をする場合、寄附の額はどのようにして決まるんですか?個人献金の場合、一人年間150万円までとなっていますが……」甘木が尋ねた。
「政治献金に回す協会の剰余金は団体献金用と個人献金用に振り分けられます。振り分けの基準は分かりませんが……。次に、個人献金の寄附額をどうやって決めるかですが、協会加盟の建設会社が受注した公共工事の受注額の総額を集計して、発注者別、受注者別に仕分けします。出来上がった仕分表に基づき個人献金用に回される剰余金が案分されます。例えば、個人献金に回す剰余金が5000万円だとします。また協会加盟の建設会社が市から受注した年間の公共工事の総額が100億円だとします。青木建設が受注した市の公共工事が総額で1億円だったします。私、青木敏夫の個人献金は、1億円割る100億円掛ける5000万円で50万円となります。この50万円は井上市長の資金管理団体『将進会』に寄附されます」青木が答えた。
「青木さんご自身が寄附をされるんですか?」甘木が尋ねた。
「いいえ、違います。協会が私の名義を使って、井上市長の資金管理団体に寄附をするんです。後で、協会から私名義で振り込んだ個人献金の振込先と金額を書いた一覧表が領収書と一緒に送られてきます」青木は一覧表を甘木らに提示した。
「へえ!こんなのがあるんですね。ところで、この一覧表をもらってどうするんですか?」
 甘木が手に持った一覧表を見た風間が尋ねた。
「この一覧表は税金の優遇措置に使えるんです。個人が政党や政治資金団体、それに県議の資金管理団体に寄附した場合、所得控除や税額控除の対象になって、税金が戻って来るんです」青木が答えた。
「個人献金を集め易くするための税制上の優遇措置があるんですね。協会が青木さんの名義を使って個人献金をするって、さっき言いましたが、そんなことができるんですか?」甘木が尋ねた。
「はい、できます。協会に加盟している建設会社は、協会の口座がある金融機関に社長名義の預金口座を開設しています。その預金口座のキャッシュカードを協会に預けることになっています。この社長名義の口座のことを『TK口座』と呼んでいます」青木が答えた。
「TK口座?」久保田が尋ねた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者