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財政破たんした北海道夕張市の現在・過去・未来を考える(その12)

2015年7月3日トピックス


■夕張市の借金(総額322億円)は私たち国民が返済している!
~「えええ、どうしてなの???」(後編)
 夕張市は地方財政再建促進特別措置法(再建法)に代えて制定された自治体財政健全化法(2009年4月1日に完全施行。以下「健全化法」という。)に基づく「財政再生団体」に指定され、現在322億円の会計赤字(累積債務など)の解消に向けて取り組んでいる。その仕様書・工程表となっているのが「夕張市財政再生計画書」だ。財政再建に必要な期間は21年間(H21~H41)。赤字解消までの期間は17年間(H21~H38)。実に夕張市の一般会計予算(平成27年度当初予算)の3倍以上もの巨額の債務を17年かけて返済する計画だ。この322億円の赤字額を解消する仕組みは次のとおり。
・市が再生振替特例債を発行して(新たな借金をして)322億円の赤字をいったん清算
・322億円の再生振替特例債(新たな借金)を17年かけて返済

 平成25年度から元金の返済が始まった。利子も含めて毎年約26億円を返済する計画になっている。しかし、現在の夕張市に毎年約26億円もの借金を返済する財政余力(資力)はない。夕張市の平成27年度の一般会計当初予算(歳入予算)をみれば明らかだ。予算総額約102億円に対し市税は約8億円(構成比約8%)しかない。市税は働いている市民や事業活動をしている市内の企業、それと市内に不動産などの資産を持っている個人や法人が納める税金だ。この市税8億円は市長や市議会議員などの特別職や市職員の人件費(約11億円)にも達していない。福祉や教育などの市民向けの行政サービスの提供に必要な経費はもちろん、借金返済額(今年度は約37億円)にも届かない。

 それでは誰が夕張市の借金を返しているのか。実は私たち国民が夕張市の借金を返済している。歳入予算科目の一つに「地方交付税」とあり約48億円が計上されている。市税の6倍、市の歳入予算総額(約102億円)の5割近くを占める。この地方交付税の原資は国税5税(所得税・法人税・消費税・酒税・たばこ税)だ。国税は私たち国民が国に納めている税金だ。だから私たち国民が夕張市の借金を返済しているのだ!

 「地方交付税」は、標準的な住民サービス、(福祉・衛生、教育、公共施設の運営など)を提供する上で必要な経費(「基準財政需要額」と呼んでいる。)を税収だけでは賄えない地方自治体(都道府県・市町村)に国から交付されるお金だ。分かり易く言えば、生活困窮者に支給される生活保護費のようなものだ。この「基準財政需要額」には借金の返済額(公債費)も含まれている。基準財政需要額は、行政科目(消防、土木、教育、厚生、産業経済、総務など)ごとに細分化されて、それぞれが人口や面積、延長、世帯数などに単価を掛けて算定されている。大まかに言えば、その地方自治体の人口と面積が目安になる。
 そこで、私が住む阿賀野市と夕張市とで、人口・面積、公債費(今年度の借金返済額)を比較してみると、次のとおり。
                        夕張市       阿賀野市
 ・人口(住民基本台帳人口:H27年1月)     9,418人      44,756人
 ・公債費(千円)               3,682,083    2,848,998
 ・地方交付税(千円)             4,848,416    7,917,000

 夕張市は阿賀野市と比較して人口は約5分の1だ。地方交付税に対する公債費(借金返済額)の割合は夕張市が75.9%、阿賀野市が36%だ。人口規模の小さい夕張市の地方交付税が多い。「健全化法」第12条第3項に「国は、再生振替特例債(国が夕張市に対し認めた借金返済のための新たな借金)については、法令の範囲内において、資金事情の許す限り、適切な配慮をするものとする」とある。…
※次号に続く。
~「誰が返すのかこの借金!こんな街に住みたくないと言って若者は出ていく。こんな街には生まれたくないと言って子どもの数は減っていく。」~
(代表 天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者