2026年8月
« 3月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

ブログ

小説「廃屋の町」(第59回)

2017年8月21日ニュース

 甘木と風間は古びた木造住宅の前を通りかかった。庭は雑草で覆われ、片隅には大きなビニール袋に入った空き缶を積んだリヤカーが置いてあった。家の壁は変色して一部は剥がれ落ちていた。屋根瓦も退色し、一部は壊れて下にブルーシートが敷かれている。障子戸は破け、ひび割れた窓ガラスには白いガムテープが貼ってあった。
「甘木、なんか臭い匂いがするね」
「この匂いはリヤカーに積んである空き缶から出ているみたいだね。ところで、あんなに沢山の空き缶をどこから集めてきたんだろう?」
「ごみステーションに捨てられた空き缶を回収して、回収業者に売っているんじゃないかな。しかし、こんなに荒れ果てた家に人が住んでいるとは思えないね。空き家じゃないのかな」
「人が住んでいるみたいだよ。ほら、玄関の郵便受けに町内会の回覧板が差し込んであるよ」
 玄関の前に掛けられた表札には「野上昭一」という名前が書いてあった。
「甘木、この家はパスした方がいいよ」
「どうして?ちょっと匂いが気になるけど、人が住んでいるようだし、行ってみようよ」
「ここじゃなんだし。あそこに公園があるだろう。そこで話すよ」
 風間は筋向いにある小さな公園に甘木を誘った。公園には誰もいない。二人はベンチに腰を掛けた。
「表札に『野上昭一』って書いてあっただろう。野上昭一は合併前の旧田沼市の職員だった人だ。汚職事件で逮捕され市役所を首になった人だよ」
「汚職事件?」
「30年以上も前に遡るけども、甘木のお爺さんが市長をしていた頃の話だよ。この事件のことは、市議会議員をやっていた爺さんから聞いた話だけどね。当時、建設課の発注係長だった野上は、市が発注する公共工事の予定価格を建設業者に漏らして、その見返りに賄賂をもらったとして、収賄容疑で逮捕されたんだ」
「収賄?賄賂を贈った人物は誰だったんだろう?」
「建設業協会事務局長の須藤って人物だ。今でもそうだけど、建設業協会の事務局長のポストは田沼市の建設課長の天下り先として用意されている指定席なんだ。野上に賄賂を贈った須藤の方は既に3年の時効が成立していたんだ。昭和54年の長野県北部地震の頃に起きた汚職事件だけどね。災害復旧工事の予算がドーンとついて、市が発注する公共工事が大幅に増えたそうだ。野上が逮捕された時の役職は建設課の課長補佐だったけど、実際は発注係長の時に予定価格を漏らした罪で起訴されたんだ。以前から田沼市が発注する公共工事の落札率が県内で一番高くなっていたことや、野上が災害復旧工事の発注業務を取りまとめる立場にあったことから、警察は、早くから野上に目を付けて内偵していたらしいよ」
「収賄で逮捕されたのは野上一人だったの?」
「当時、野上の上司だった建設課長の内藤隆志や上層部の関与も疑われたけれども、うやむやになってしまったらしいよ。当時は、『トカゲのしっぽ切り』だったんじゃないかって噂が流れたそうだよ」
「田沼市が発注する公共工事は、今でも入札情報が建設業者に漏れているんだろうか?」
「それは充分に考えられるね。今でも公共工事の落札率が県内で一番高くなっているって財政課長の杉田昇が言っていたのを覚えているだろう。それに県の土木部出身の井上市長、県議の山田良治、建設業協会長の山田信夫、この三人が政官業の鉄のトライアングルを作って、市や県が発注する公共工事について、予算の確保から工事の施工場所、施工業者の選定までを取り仕切っているみたいだよ。甘木も知っていると思うけど、県議の山田良治は建設業協会長の山田信夫の実弟だ。県の公共工事だって入札情報が業者側に事前に漏れていてもおかしくないね」
「収賄事件はもう30年以上も昔の話だし、とにかく行ってみようよ」
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第58回)

2017年8月19日ニュース

 甘木は事務所を構えてからも、風間ら同級生と大票田の市街地での挨拶回りを重ねた。
 ある冬の寒い日、甘木は風間の運転する車に乗って住宅街を走行していた。放射冷却の影響だろうか。日陰になっている路面は所々で凍っていた。風間が運転する車の50メートルほど先を走っていた自転車が突然、凍結した路面に車輪がとられ横転してしまった。甘木と風間は車を路肩に止めて横転した自転車に向かった。
「大丈夫ですか。お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫です」
 70代と思われる女性がコートについた汚れを払いながら応えた。幸い車の通行が少ない時間帯だったので大事に至らずほっとした。しかし自転車の荷台に積んでいた買い物袋が横転したはずみで路面に散らばってしまった。
 破けた買い物袋から生卵の入ったケースがはみ出ていた。生卵は割れて黄身が滲み出ている。甘木と風間は路面に散乱した二個の買い物袋を集めて女性に渡した。女性は買い物袋を荷台に載せて自転車を押して帰ろうとしたが、転んで足をくじいたのか思うように自転車を押せない。
 甘木は「お近くにお住まいでしたら、ご自宅まで自転車を届けてあげますよ」と女性に申し出た。
「ありがとうございます。私の家はここから歩いて5分くらいの所にあります。申し訳ありませんがよろしくお願いします」と女性は礼を言って、二人に自転車を預けた。
「買い物に行く時はいつも自転車ですか?」風間が尋ねた。
「主人が生きている頃は、主人が運転する車で買い物に出掛けていましたが、5年前に主人が亡くなってからは、バスや自転車で買い物に出掛けています。ちょっとした買い物は近所の食料品店で用が足りたんですが、その食料品店も店主の高齢化と後継ぎがいないことで、最近、店を閉じてしまいました」
「失礼ですが、お一人で生活されているんですか?」甘木が尋ねた。
「ええ、一人暮らしです。息子が一人いますが、息子夫婦は東京で暮らしています」
「最近、高齢者の一人暮らしが増えているようですが、一人で生活していて不便なこととかはありますか?」甘木が尋ねた。
「買い物に行くにも病院に行くにも大変です。普段は市バスを使って出掛けるんですが、市バスは平日しか走っていませんし、それに本数が少ないので困っています。日曜日の今日は少し離れた所にあるスーパーの特売日だったので自転車に乗って買い物に出掛けましたが、こんな事になってしまって、皆さんにご迷惑をお掛けして申し訳なく思っています」
「そんなことはないですよ。それよりも、お怪我がなくて何よりです。一人暮らしをしていて、不安に感じることってありますか?」甘木が尋ねた。
「変な電話が時々、掛かってきて困っています。オレオレ詐欺っていうんですか?この前、息子の名前を語って、役所のお金を使い込んでしまって、役所に賠償しなければならないから、100万円を振り込んでくれっていう電話がありました。もしかして詐欺じゃないかと思って、息子の生年月日を聞いたんです。そしたら、突然、電話が切れてしまいました」
「被害に遭われなくて良かったですね。最近、一人暮らしの高齢者を狙った振り込め詐欺が増えているようですが……」風間が言った。
「そうですね。この町内もお年寄りだけの世帯が多くなりました。私の場合は、振り込め詐欺に遭わなかったんですが、隣の町内に住んでいる友人が詐欺に遭ってしまいました。警察には被害届を出したそうですが、息子さんには内緒にしているってことです」
「どうしてですか?」風間が尋ねた。
「息子さんに詐欺に遭った話をすると、叱られるからって言っていました。ところで皆さんは、お仕事か何かで、この町内に来られたんですか?」
「すみません、私たちは挨拶回りをしています」甘木が言った。
「挨拶回り?」
「私は、4月の市長選挙に立候補する甘木雄一と言います。私が市長になったら、お年寄りが歩いて買い物に行ける町、歩いて病院や医者に通える町、介護サービスも充実した高齢者に優しい町づくりを目指します。どうか甘木雄一をよろしくお願いします」
 甘木は女性にチラシを渡した。女性はチラシに掲載された甘木の顔写真を見ながら、
「あなたが今度の市長選挙に出られる甘木さんですね?この前、新聞に載っていましたね。随分と若いですが、お幾つですか?」
「52歳です」
「息子と同い歳でね」
「私も甘木君と同じ中学校の同級生で風間と言います」
「皆さんはどちらの中学ですか?」
「僕たちは田沼第一中学の卒業生です」風間が答えた。
「息子と同じ中学ですね」
「同じ中学でしかも同じ歳であれば、同級生かもしれませんね。差し支えなければ、息子さんの名前を教えてもらっていいですか?」風間が尋ねた。
「はい、斉木正則といいます」
「あの斉木君ですか。我々と同じクラスでした。斉木君は高校を卒業した後、東京の大学に進学して、公正取引委員会に勤めているって話を聞いたことがありますが……」風間が言った。
「ええ、東京の城東大学を出た後、そのまま就職して、今は東京で暮らしています」
「斉木君は、実家に帰って来ることがあるんですか?」甘木が尋ねた。
「夫が生きていた頃は、年末年始の休みには孫を連れて帰ってきたこともありましたが、偉くなったら忙しくなったのか、ほとんど顔を見せません」
 無事に自宅に戻った女性から、「ほんとうにありがとうございました」という感謝の言葉をもらいながら、二人は女性の自宅を後にした。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第57回)

2017年8月17日ニュース

「息子が言うには、店の奥に隠し部屋があるんじゃないかって」小島が言った。
「隠し部屋?あの店は昔、乾物問屋だったところで、棟続きの奥には土蔵が建っているけど、隠し部屋というのはその土蔵のことかい?」風間が言った。
「そうだと思うよ。ところが、店と土蔵の間は壁で仕切られているため、店の客は土蔵の方には行けないらしい。でも厨房を通れば土蔵の方に行けるみたいだね。というのは、厨房の出入り口は二か所あって、一つは店の方に、もう一つは土蔵の方に向いているそうだ。その厨房で居酒屋の客に出す料理と土蔵にいる客に出す料理を作っているらしいんだ。息子がトイレに行くときに、何気なく厨房を覗いたら、料亭で出される料理が皿に盛り付けてあったそうだよ」小島が言った。
「店の中からその隠し部屋というか、土蔵に行けないとしたら、土蔵の入口は別にあるってことかい?」風間が尋ねた。
「土蔵の入口かどうかは分からないけど、居酒屋を出た息子と友達が店の裏通りに回ってみたら、黒壁に潜り戸が一つあったそうだ。でも看板らしきはものはなかったって言ってたね」小島が言った。
「もしかして、その隠し部屋は会員制の料亭になっているのかね?」風間が言った。
「いずれにせよ、入口の防犯カメラでこっちの事務所を監視しているかもしれないね。用心した方がいいね」甘木が言った。
「ところで、今日は二人で商店街の挨拶回りだったよね?」小島が言った。
「そうなんだ、新年の挨拶を兼ねて甘木の政策チラシを配っているんだ」
 風間が小島にチラシを渡した。
「甘木、ここに書いてある地域限定プレミアム商品券って、何だい?」小島が尋ねた。
「地域限定のプレミアム商品券というのは、田沼市内のお店でしか使えない商品券のことだよ。この商品券を買った人が購入額以上の買い物ができるというもので、例えば、額面1200円の商品券が10枚入ったセットを1万円で販売した場合、商品券を購入した人は、1万円の出費で12000円分の買い物ができることになるんだ。商品券を買った人からすれば、商品券1枚について二割のプレミアムが付いている分お得になるので、商品を二割引で買うのと同じことになるんだ。商品券が使える店を市内の店舗に限定すれば、市内から消費が逃げる心配がない。また、市外に住む人もこのプレミアム商品券を買えるようにすれば市外の消費も呼び込めるってわけさ。プレミアム商品券は商店街組合が発行し、プレミアム分の二割を市が補助金として商店街組合に補助するものだよ。客が増えて商店の売り上げが伸びれば、その分、商店が市に納める税金も増えるって仕組みだよ」甘木が言った。
「それはいい考えだ。私ら個人商店は客から時々値引きを求められことがあるが、大量に商品を仕入れる量販店と違って仕入れコストがどうしても高くなる。仕入れ価格よりも安く売れば赤字だ」
 小島が言った。
「近江商人の『三方良し』ってことかな?」甘木が言った。
「確か、『売り手良し』、『買い手良し』、『世間良し』ということだろう?」小島が言った。
「そう、『三方良し』は売り手と買い手がともに満足し、また社会にも貢献できるのが良い商売であるという意味だよ。この『三方良し』を政策に反映したものが、この地域限定のプレミアム商品券だよ」
 甘木が言った。
「このチラシ、20枚ほどもらえないか?来週、商店街組合の役員会があるので甘木の政策を宣伝してあげるよ」
「ありがとう。よろしく頼むよ」甘木は礼を言って小島にチラシを渡した。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第56回)

2017年8月15日ニュース

 年明け後、甘木は風間ら同級生と政策チラシを持って年頭の挨拶回りを始めた。まずは商店街でスーパーを経営している小島孝雄を訪ねた。二人は百津屋の看板が掛けてある店に入った。
「明けましておめでとうございます。奥さん、孝雄ちゃんいますか?」
 風間が、棚に商品を並べていた小島の妻に声を掛けた。
「びっくりした!甘木さんに風間さん、明けましておめでとうございます。今、主人を呼んできますね」
「よお!甘木に風間のご両人、明けましておめでとう!」
「明けましておめでとう。本年もよろしく」甘木と風間が挨拶をした。
「いよいよ市長選挙が近づいてきたね。準備は順調かい?」
「まずまずってとこだね。今日から商店街の挨拶回りを始めたんだ」甘木が言った。
「しかしこの大雪はいつまで降り続くのかね。此処の所、客足もさっぱりだよ。こんな大雪じゃ、顔馴染みのお年寄りも買い物に出て来られないよ」小島がぼやいた。
「天気予報では冬型の気圧配置が暫く続くそうだよ」甘木が言った。
「ウチと違って、業界団体の固定客をがっちりと掴んでいる寿屋さんは大雪になっても関係ないんじゃないの?それに、これからは、業界団体の賀詞交換会が始まるし、新年会や送別会など職場単位の飲み会だって増えてくるだろう?」小島が風間に向かって言った。
「百津屋さんのところみたいに天気の影響を受けることはないけど、景気の影響はもろに受けるね。客層を見ているとよくわかるよ」風間が言った。
「客層って?もしかして建設関係のお客ってこと?」小島が尋ねた。
「そうだね、今、ウチに宴会の予約を入れてくるところは、建設関係の会社が多いね。特に選挙がある今年はね」風間が言った。
「去年の秋にオープンした居酒屋『寄り道』、流行っているみたいだね」小島が言った。
「作業着で行くと生ビールが半額になるってチラシに書いてあったね」風間が言った。
「ウチの息子も近所の友達を誘って『寄り道』に行ったそうなんだが、安くて美味しかったよって言ってたよ」小島が言った。
「営業マンの息子さんは、普段はスーツを着て会社に行ってるんじゃないの?息子さん、作業着は持っているの?」風間が言った。
「息子は作業着を持っていないから、俺の作業着を貸してあげたんだ。帰って来た息子が面白いことを言ってたね」小島が言った。
「面白いことって?」甘木が尋ねた。
「防犯カメラのつもりで設置したのかね。店の外と中に監視カメラが設置されているそうだよ」
 小島が答えた。
「ええ!監視カメラだって?」風間が言った。
「そう。外は店の入り口付近に、店内は客席に向けて、それぞれ一台ずつ監視カメラが設置されているそうだよ」小島が言った。
「飲食店に防犯カメラっていうのは、あまり聞かないね。ウチも飲食店だけど防犯カメラなんて付けていないよ」風間が言った。
「ウチのような食料品店だって、防犯カメラなんかないよ」小島が言った。
「防犯以外の目的もあるんじゃないのかな。特に入口付近にある防犯カメラは、通りを挟んで向かいにあるこっちの選挙事務所を監視するために設置したんじゃないだろうか?店のオーナーが山田組社長の奥さんだよ。防犯カメラで敵情を探っているってことさ」風間が言った。
「そうかな?でも気になるね」甘木が言った。
「もう一つ、面白いことがあるって、息子が言っていたよ」小島が言った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第55回)

2017年8月13日ニュース

「しかし、来年は選挙の多い年ですね。4月の県議選に田沼市長選挙、10月には知事選に田沼市議選と4回も選挙がありますね。衆議院が解散すれば5回に増えますが……」森山が言った。
「4回でも大変だというのに、それが5回に増えれば、我々、建設業界も兵站が尽きてしまいますよ」佐川が言った。
「民自党の園田政権が高い支持率をキープしていますので、解散総選挙ということは、しばらくはないと思いますよ」山田県議が言った。
「まずは4月に行われる県議選と市長選に向けた兵站の準備が必要です。我々、建設業協会の士気が高まるようなお年玉が要りますね。山田会長が井上市長に向かって言った。
「山田会長さん、その点はご心配なく。新年度の公共事業予算は例年の3割増しで組むようにと建設課に指示を出していますよ。それに2年後に迎える合併10周年の記念行事に間に合わせるため、文化会館と総合体育館の建設事業費も新年度予算に入れるよう担当課に指示を出しました」
「市議会最大会派の我々田沼クラブも、3月に開催される市議会定例会では新年度予算の円滑な審議、議決ができるよう、全面的に協力しますよ」市議会議長の遠山が言った。
「県事業の新年度予算の方は、主なものでは田沼川の改修事業費の2割増額と圃場整備事業費予算の新規計上ですね」山田県議が言った。
「山田さん、農家負担を伴う圃場整備事業の施行申請には関係農家全員の同意が必要だと聞いていますが、同意の方は大丈夫だったんでしょうか?」森山が尋ねた。
「井上市長のおかげで、農家負担の一部を市が負担してくれることになって、農家全員の同意がもらえたんですよ」山田県議が言った。
「山田県議さんとはウィンウィンの関係ですよ」井上が言った。
「山田県議さんと井上市長さんからは、建設業界のために、いろいろとご配慮をいただき感謝しています。今の話を会員企業が聞いたら喜びますよ。選挙戦に向けた士気も上がってきますよ。県や市の工事が我々に発注されれば、応分のお返しはさせていただきます。協会もそうですが、政治家と業界団体の関係も共存共栄でいきましょう」佐川が言った。
「佐川さん、共存共栄って言葉は古いですよ。今、井上市長がおっしゃったウィンウィンって言葉が、最近はやっているみたいですよ。ところで井上市長さん、まだ先の話ですが、文化会館と総合体育館は、どういう入札方式をお考えですか?」森山が尋ねた。
「三年前の市立病院の移転新築工事の入札の時のように、地元業者を入れた三社で構成するJV(共同体企業体)方式を考えています」井上が答えた。
「市長、三社の構成は市立病院の建設工事の時のように我々建設業協会に任せてもらいたい。全国ゼネコン、県内ゼネコン、地元建設業者の一社ずつの組み合わせがいいのか、市立病院の時のように、県内ゼネコン二社と地元業者一社の組み合わせがいいのか、時間はたっぷりあるので、市と県の建設業協会で調整させてもらいたい」山田会長が言った。
「もちろん、そのつもりです」井上が言った。
「三年前の市立病院の入札の時は、改進党系の市議からは、JV一者しか参加しない入札はおかしいとか、ほぼ100%の落札率は官製談合が行われた証拠だとか、いろいろと質問が出されて、市議会も紛糾したこともありましたけど、発注者側から受注者側に入札情報が漏れているなんて話が、職員からマスコミにリークされるってことはないでしょうね?」遠山が尋ねた。
「公務員には守秘義務がありますし、入札業務に携わっている職員には人事の面で優遇していますから、そういった心配はないと思いますよ」井上が答えた。
「政官業の鉄のトライアングルは強靭ですよ。簡単には壊れませんよ」山田会長が話を締め括った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第54回)

2017年8月12日ニュース

 12月上旬、商店街にある居酒屋「寄り道」の奥座敷で、田沼市長の井上将司、市議会議長の遠山信一、県議会議員の山田良治、田沼市建設業協会長の山田信夫、信州建設社長の佐川郁夫、森山組社長の森山富市の6人が集まって酒宴が開かれた。信州建設と森山組は県内ゼネコンのツートップだ。また、佐川と森山は県の建設業協会の会長と副会長をそれぞれ務めている。
 和服姿の端正な顔立ちの女性が部屋に入ってきて、山田信夫の脇に座った。山田がおもむろに口を開いた。
「皆さんに紹介します。妻の麗子です。この店の経営者です」
「麗子と申します。主人がいつもお世話になっています。本日は年の瀬も押し詰まったなか、『竜宮』にお越しをいただき、ありがとうございます。お時間の許すまで、ごゆっくりとご歓談ください」
 麗子は、居並ぶ賓客の前で両手をついて頭を下げた。
「奥さん、今ほど『竜宮』とおっしゃいましたが、この店は『寄り道』ってお店じゃなかったですか?」遠山が尋ねた。
「それは表の店の名前で、この奥座敷は『竜宮』と申します」
「でも『竜宮』という看板はありませんが……」
「こちらは会員制の料亭でございます。一般のお客様は入れませんので、看板は掛けておりません」
 麗子が答えた。
「私も一つお聞きしたいんですが、『竜宮』って名前にしたのは、どんな意味があるんですか?」
 佐川が尋ねた。
「ホ、ホ、ホ。竜宮城に連れて行かれた浦島太郎のように、時が過ぎるのを忘れるほどに楽しく過ごしていただける場所という意味ですわ」
「私も一つ質問させてください。それでは表の『寄り道』という名前の由来はなんですか?」
 今度は森山が尋ねた。
「お勤めの帰りに気軽に寄っていただきたいということで、『寄り道』にしました。特に作業着でお越しいただいたお客様には生ビールを半額でご提供させていただいております」
 麗子は一礼して部屋を出て行った。
「新聞折り込みに『作業服でのご来店大歓迎!』というチラシが入っていたようですが。市役所でも、普段、作業時を着て仕事をしている建設課の職員は、安い居酒屋を見つけたって喜んでいましたよ」
 井上が言った。
「通りに面した正面が居酒屋で奥が料亭の座敷になっているなんて、正直、この店の造りには驚きましたよ。それにこの部屋は土蔵ですね。しかし窓がないのが、ちょっと気になりますが……」
 佐川が言った。
「佐川さん、この部屋は夜しか使わないので窓はいらないんですよ。この店は昔、乾物問屋だったらしいですよ。表の居酒屋と裏の料亭は壁で仕切られ入口も別々です。前と奥との行き来はできない構造になっています。前の店は看板があって誰でも入れる大衆酒場なら、こちらの奥座敷は看板のいらない、要人やエグゼクティブを迎え入れる貴賓室ですよ」山田が言った。
「窓もなければ壁も分厚くて、中の明かりも話し声も外に漏れる心配もない。この部屋は秘密の会合には打ってつけの場所ですね。ところで、そこにあるテレビのようなモニターは何ですか?」
 森山が尋ねた。
「これですか」山田がリモコンのスイッチを入れた。
 おおー!その場の一同が声を上げた。
「こ、こ、これは!居酒屋の中じゃないですか?」森山が言った。
「そうです。店内の防犯カメラで撮っている映像です。こんなのもありますよ」と言って、山田はスイッチを切り替えた。モニターには通りを行き交う人や車が映し出された。
「今、映っている映像は居酒屋の入口にある防犯カメラが捉えた映像です。物騒な時代になりましたからね。二台のカメラで店の中と外を監視しているんですよ」山田が言った。
「何か、覗き見をしているような感じですね」森山が言った。
「さー、料理長が腕に縒りを掛けて作った『信州黄金シャモ』の鍋料理です。熱いうちに召し上がってください」山田がグツグツと音をたてている鍋の蓋を開けて言った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第53回)

2017年8月11日ニュース

 ゲラ刷りの上部には、「まちづくり八策 コンパクト&スマートシティー構想~50年先を見据えたまちづくりを提案します!」というチャッチコピーが入っていて、その下には8項目の政策(まちづくり八策)が列挙されている。
1.お年寄りが歩いて買い物に行ける、歩いて通院できる、介護サービスも充実した高齢者に優しい街(コンパクトシティー)づくりを目指します。
2.人口減少をストップさせるため、子育て世代の定着と市外からの流入に向けた支援策を強化します。
3.世界の檜舞台で活躍できる人材を輩出できるまちづくりを目指します。
4.市役所内に人口問題を検討する部局横断の組織を新設し、全市挙げて人口減少対策(人口維持対策)に取り組みます
5.地域の絆(きずな)づくりを応援します。
6.地元の農商工業者の事業承継に向けた支援(後継者対策)を実施します。また雇用創出につながる企業誘致・起業化支援を推進します。
7.エネルギー効率の高い街(スマートシティー)づくりを目指します。
8.将来世代(子供たち)に資産として引き継げるように、合併前の旧市町村時代に建てられた公共施設の統廃合を進めます。
「僕が提案した後継者対策も入っているね。この『まちづくり八策』って言葉は、もしかして、坂本竜馬の『船中八策』を真似たのかい?」小島が尋ねた。
「当たり!小島、よく分かったね。いま小島が言ったように、『船中八策』は坂本龍馬が土佐を出港し上京する折に、船中で藩士の後藤象二郎に示した新政府のグランドデザインだよ。『まちづくり八策』は、建設業者の利益を最優先に考える井上市政と決別して、市民の利益を最優先に考える甘木市政を実現しようという意味合いを含んだ言葉だよ」風間が答えた。
「ゲラ刷りがもう一枚あるけど、甘木の顔写真と経歴、それに中学時代の写真も何枚か載せているね。これって、運動会の時の写真じゃないの?ああ!俺だ。風間や恵ちゃんも写っているね。お互い、この頃は若かったね。髪もふさふさしていたしー、そうだろう、健ちゃん?」小島が言った。
「余計なこと言うなよ!お前の頭だって、今じゃ白髪頭じゃないか」
「お互い様だけどね。このゲラ刷りは『まちづくり八策』と同じサイズだけど、セットってこと?」
 小島が尋ねた。
「ああ、チラシの片面だよ」風間が答えた。
「チラシ?」
「『まちづくり八策』はB4版両面刷りのチラシにして、正月明けに新聞折り込みで市内に配布する予定なんだ。今、その準備をしているところだよ。チラシの一面には甘木の人柄を知ってもらおうと顔写真と経歴を載せて、二面には政策を載せることにしたんだ」風間が言った。
「チラシか。いいことを思いついたね。うちも時々、新聞にチラシを入れるけど、スーパーのチラシとは全然、違うね」小島が言った。
「それは、そうよ。スーパーのチラシは値段が全てでしょう。商品の写真は小さくて、値段の方は大きな字で書いてあるわ。それに、主婦の立場で言わせてもらうと、値段の付け方って巧妙よね。89円とか138円とか、一の位を四捨五入すると十の位に切り上がってしまうのよね」
「痛いところを突かれたな。例えば92円の商品と89円の商品は3円しか値段は違わないけど、買う方から見れば、それ以上の開きがあるように感じてしまうよね。でも、ウチの店では、特売日になると赤字覚悟で御奉仕しているよ」小島が言った。
「孝雄ちゃん、百津屋さんの常連客として言わせてもらうけど、特売日を増やしてもらいたいわ!」
「はい、前向きに検討させて頂きます」小島が言った。
「それって、お役所言葉じゃない?役人はよく、『検討します』って言葉を使うけど、結局やらなんだよね」甘木が突っ込みを入れた。
「私は役人ではありませんので、嘘は言いません!」小島はきっぱりと答えた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第52回)

2017年8月9日ニュース

 12月中旬、甘木は小島孝雄が見つけてくれた商店街の空き店舗に選挙事務所を構えた。
「こんにちは」小島が甘木の事務所に顔を出した。
「あら、孝雄ちゃんじゃないの。今日はお店、お休みなの?」事務所番の久保田恵子が言った。
「ばか言えよ。ウチは年中無休だよ。配達のついでに、立ち寄ったんだ。これ、陣中見舞いだよ」
 小島がペットボトルの飲料が入った段ボール箱を床に置いた。
「孝雄ちゃん、ありがとう。ここは選挙事務所にはお誂え向きの場所だわ。ここにいると商店街の様子がよく分かるのよ。商店街を歩いている買い物客のほとんどはお年寄りね。それもおばあちゃんがシルバーカーを押して歩いているわ。きっと近所に住んでいるお年寄りだわ」
「ウチの店の顔なじみのお客さんもシルバーカーを押して買い物に来るね。シルバーカーってよくできているよ。杖代わりにもなるし、腰掛けにもなる。それに荷物入れも付いているので、お年寄りが買い物に行く時には便利な道具だね」
「熱いコーヒーでもどうぞ」
「ありがとう」
「シルバーカーってお年寄りにとっては必需品よね。うちの母もシルバーカーを押して近所のお友達のところに出掛けたりしているわ」
「甘木は外に出ているの?」
「健ちゃんと挨拶回りに行っているわよ。3時には帰って来るはずよ」
 久保田は部屋の時計を見ながら言った。
「ただいま」甘木と風間が帰って来た。
「お帰りなさい。外は寒かったでしょう。今、熱いコーヒーを入れるわよ」
「あれ、小島じゃないか?お店の方は大丈夫なのかい?」風間が言った。
「この時間帯は近所に住むお年寄りが買い物に来る程度で客は少ないね。もっとも4時になると、お年寄りはぴたりと来なくなるけどね」小島が言った。
「あら、どうして?」久保田が尋ねた。
「4時になると時代劇のテレビ番組が始まるんだ。再放送だけどね。お年寄りはその番組を見たくて、4時になると外出を控え、また外出先から帰って来るんだ。ウチのお袋も毎日、欠かさずに時代劇を見ているよ」小島が言った。
「それ、分かるよ。甘木と挨拶回りをして気づいたんだけど、平日の昼間に挨拶回りに行っても、家に居るのはお年寄りばかりだね。特に4時頃にお年寄りの家を訪ねると、テレビの大きな音が玄関先まで聞こえてくるんだ。時代劇を見ているんだなって分かったよ。大相撲が始まると相撲中継を見ているおじいちゃんもいたよ」風間が言った。
「特に、寒くなるとお年寄りは家に引きこもりがちだわ。話し相手のいないお年寄りにとって、テレビがその代役を務めているのかもね」久保田が言った。
「何だい?このゲラ刷りの紙は?『まちづくり八策』って書いてあるけど」小島が言った。
「市長選向けに作った政策で、いま校正しているところだよ。僕が市長に当選したら、こういうまちづくりをしたいという思いを政策にしたものだよ」甘木が言った。
「この『まちづくり八策』には、甘木と俺たち同級生が3か月余りかけて、田沼市内を隈なく回って集めた住民の声や地域の実情がこの政策に集約されているんだ。小島からもらった意見や要望も入っているよ」風間が言った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第51回)

2017年8月7日ニュース

 12月中旬、市議会副議長の小林俊二氏が4月の市長選に出馬するとのうわさが流れた。小林氏は市議会最大会派「田沼クラブ」の幹事長で会派の中では若手のホープに目されていた。しかしこの噂話は間もなく消えた。水面下では、保守票が割れることを心配した井上陣営は保守候補を一本化するため、小林副議長の出馬を断念させようと多額の現金を使った調整が行われた。
 1月上旬、例年、政府の新年度予算案が決定された年明け後に県や市町村では新年度の予算編成が始まる。田沼市では市長選挙のある年は、公共事業予算を中心に大型予算が編成されることが慣例となっている。仕事始めの1月4日、建設課長の佐々木健一は課内会議に集まった係長を前に年頭の挨拶を行った。
「明けましておめでとうございます。今年は例年ない大雪に見舞われ、職員の皆さんからは、年末年始の休暇にもかかわらず、除雪車の出動連絡業務にあたっていただきありがとうございました。冬型の気圧配置がまだしばらくは続くようです。仕事始めの今日からは通行車両が増え、また除雪作業の影響もあって道路は大変混雑しているようです。引き続き除雪車の出動連絡業務にお難儀をかけますが、よろしくお願いします。さて、これから新年度の予算編成作業が始まるわけですが、先ほど行われた部課長会議で、新年度の公共事業予算については、今年度の3割増しで予算計上するようにと、井上市長からご下命がありました。皆さんも承知のとおり、新規事業の目玉として文化会館と総合体育館の建設が、それぞれ文化振興課と生涯学習課で予算計上されることになっています。うちの建設課の関係では、新規事業として国道バイパスへのアクセス道路の整備が3か所ありますし、継続事業では消雪パイプの新設、住宅リフォーム助成事業、下水道の整備、橋梁の付け替え工事などがありますが、まだ3割増しには届いてないので、市道の改良、老朽した消雪パイプや消雪井戸の更新、道路側溝の改修など、以前から自治会要望として出されていた事業で、まだ執行していない事業を掘り起こしていただきと思います。新年度予算に計上する公共工事が決まったら、事業名、施工個所、事業量、概算事業費を入れた一覧表を作って来週の月曜日までに私に提出してください。よろしくお願いします」
 佐々木は今年3月で定年退職を迎える。4月からは田沼市建設課長の天下り先になっている建設業協会事務局長の椅子が用意されている。
「土日を入れても5日しかない。休日出勤して仕事をしろということか。課長は部下に命令するだけだから、いいよな。仕事をするのは、我々、下々の者だ。課長は4年に一度の『お祭り』だって言っているけど、我々にとっては4年に一度の『苦役』だよ」
 課内会議を終えて席に戻った道路維持係長の横田紀夫はぼやいた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者

小説「廃屋の町」(第50回)

2017年8月5日ニュース

「さっき、入札等監視委員会で、落札率が県内平均よりも高くなっていることや、予定価格に近いところで、入札価格が等間隔に並んでいることが指摘されているようだけど、田沼市が発注する公共工事の落札率は、一体どれくらい高いんだ?」風間が尋ねた。
「地元の建設業者しか入札に参加できない制限付き一般競争入札の場合は、落札率は常に95%を超えているんだ」
「ええ!そんなに高いのか!歩切りをして予定価格を低く設定していれば、予定価格を上回る価格で札を入れる業者だっているだろう。それが、実際は、ほとんどが予定価格の範囲で札を入れているってことは、予定価格が事前に業者側に漏れているってことだろう?」風間が言った。
「それは何とも言えないね。分母になる予定価格が歩切りによって引き下げられた結果、落札率が高くなったということも考えられるね」
「そうだとすれば、市外の業者も入札に参加できる一般競争入札や指名競争入札だって落札率が高くなってもいいんじゃないのかな」甘木が言った。
「確かに、市内業者しか参加できない制限付き一般競争入札に比べ、通常の一般競争入札や指名競争入札の落札率は低くなっている。でもこれだって、状況証拠でしかないよ」
「ところで予定価格を決めるのは誰なんだい?」風間が尋ねた。
「最終決定権者は井上市長や、金額によっては榎本定男副市長だ。入札執行の稟議書が最終決裁権者の市長や副市長に回ってくると、予定価格を記入した後、その紙を封書に入れて封印するんだ」
「入札の時に予定価格の入った封書が開けられるの?」久保田が尋ねた。
「そのとおり。入札を執行する入札課の職員が開封して、業者が入れた入札価格と予定価格を比較して、最も安い価格を入れた業者が落札者となるんだ」
「予定価格を超えなければ、どんなに安い価格を入れてもいいの?」久保田が尋ねた。
「『安かろう、悪かろう』で、粗雑な工事になってしまうことを防ぐ目的で、入札価格の下限額が設定されているんだ。この下限額のこと『最低制限価格』と呼んでいるよ。予定価格が分かれば、自動的に最低制限価格も分かる仕組みになっている」
「予定価格を上回ってもダメ。最低制限価格を下回ってもダメ。でも、なるべく儲けが出るように高い価格で仕事を請け負いたい。業者の人って大変ね」久保田が言った。
「入札前に業者間の談合で落札者を決めておく。その落札予定者がなるべく高い価格で工事を受注させるために必要な入札情報、特に予定価格が発注者側から漏れている官製談合。これが田沼市の入札の実態じゃないか。その予定価格の情報提供が金銭で取引されているとした場合に、どうなるの?」
 風間が言った。
「予定価格の漏洩に合わせて金銭の授受があれば、贈収賄になるね」甘木が言った。
「官製談合も贈収賄も証拠がなければ、どうしようもないよ」杉田が言った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者