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小説「廃屋の町」(第55回)

2017年8月13日ニュース

「しかし、来年は選挙の多い年ですね。4月の県議選に田沼市長選挙、10月には知事選に田沼市議選と4回も選挙がありますね。衆議院が解散すれば5回に増えますが……」森山が言った。
「4回でも大変だというのに、それが5回に増えれば、我々、建設業界も兵站が尽きてしまいますよ」佐川が言った。
「民自党の園田政権が高い支持率をキープしていますので、解散総選挙ということは、しばらくはないと思いますよ」山田県議が言った。
「まずは4月に行われる県議選と市長選に向けた兵站の準備が必要です。我々、建設業協会の士気が高まるようなお年玉が要りますね。山田会長が井上市長に向かって言った。
「山田会長さん、その点はご心配なく。新年度の公共事業予算は例年の3割増しで組むようにと建設課に指示を出していますよ。それに2年後に迎える合併10周年の記念行事に間に合わせるため、文化会館と総合体育館の建設事業費も新年度予算に入れるよう担当課に指示を出しました」
「市議会最大会派の我々田沼クラブも、3月に開催される市議会定例会では新年度予算の円滑な審議、議決ができるよう、全面的に協力しますよ」市議会議長の遠山が言った。
「県事業の新年度予算の方は、主なものでは田沼川の改修事業費の2割増額と圃場整備事業費予算の新規計上ですね」山田県議が言った。
「山田さん、農家負担を伴う圃場整備事業の施行申請には関係農家全員の同意が必要だと聞いていますが、同意の方は大丈夫だったんでしょうか?」森山が尋ねた。
「井上市長のおかげで、農家負担の一部を市が負担してくれることになって、農家全員の同意がもらえたんですよ」山田県議が言った。
「山田県議さんとはウィンウィンの関係ですよ」井上が言った。
「山田県議さんと井上市長さんからは、建設業界のために、いろいろとご配慮をいただき感謝しています。今の話を会員企業が聞いたら喜びますよ。選挙戦に向けた士気も上がってきますよ。県や市の工事が我々に発注されれば、応分のお返しはさせていただきます。協会もそうですが、政治家と業界団体の関係も共存共栄でいきましょう」佐川が言った。
「佐川さん、共存共栄って言葉は古いですよ。今、井上市長がおっしゃったウィンウィンって言葉が、最近はやっているみたいですよ。ところで井上市長さん、まだ先の話ですが、文化会館と総合体育館は、どういう入札方式をお考えですか?」森山が尋ねた。
「三年前の市立病院の移転新築工事の入札の時のように、地元業者を入れた三社で構成するJV(共同体企業体)方式を考えています」井上が答えた。
「市長、三社の構成は市立病院の建設工事の時のように我々建設業協会に任せてもらいたい。全国ゼネコン、県内ゼネコン、地元建設業者の一社ずつの組み合わせがいいのか、市立病院の時のように、県内ゼネコン二社と地元業者一社の組み合わせがいいのか、時間はたっぷりあるので、市と県の建設業協会で調整させてもらいたい」山田会長が言った。
「もちろん、そのつもりです」井上が言った。
「三年前の市立病院の入札の時は、改進党系の市議からは、JV一者しか参加しない入札はおかしいとか、ほぼ100%の落札率は官製談合が行われた証拠だとか、いろいろと質問が出されて、市議会も紛糾したこともありましたけど、発注者側から受注者側に入札情報が漏れているなんて話が、職員からマスコミにリークされるってことはないでしょうね?」遠山が尋ねた。
「公務員には守秘義務がありますし、入札業務に携わっている職員には人事の面で優遇していますから、そういった心配はないと思いますよ」井上が答えた。
「政官業の鉄のトライアングルは強靭ですよ。簡単には壊れませんよ」山田会長が話を締め括った。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者