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オンブズマン通信11.1~設計・施工一括発注方式 地元建設業者の締め出し目的か

2016年9月21日ニュース


【地域政党日本新生イメージキャラクターウィズ」君】
  阿賀野市民オンブズマン・設立趣意書

 日頃、阿賀野市民オンブズマンの活動に深い理解と協力を頂いているY氏から、オンブズマンにとって有益な市政情報(市当局にとっては不都合な真実?)を届けて頂いた。今回、Y氏が持って来てくれた情報は「阿賀野市設計・施工一括発注方式実施要綱」だ。。この実施要綱は9月8日付けで告示され同日付けで施行されている。

 この要綱制定の目的は、ずばり市発注の公共工事から地元建設業者を締め出すことだ。設計が必要な公共工事は、大規模な公共施設の建設工事だ。過去の建設事例では「あがの市民病院」(新病院)と水原中学校(校舎棟・体育館)が挙げられる。さて「設計・施工一括発注方式」とは設計と施工を一括して同一の建設業者に発注する入札・契約方式である(同要綱2条)。これまで大規模な公共施設を建設する場合、設計業務と施工業務はそれぞれ別々に入札・発注されていた。それが設計と施工が一括して1社に発注となればどうなるか。社内に設計部門を持たない市内の建設業者は、市が発注する公共施設の建設工事の入札には参加できなくなる。社内に設計部門を有するのは県内ゼネコンや全国ゼネコンだ。今後、市が発注する安田新支所、道の駅、文化会館(田中市長一期目の公約)など、大型の公共施設の建設工事の入札に地元の建設業者は参加できなくなる。これらの公共施設の建設予定地が土地造成工事を伴う場合、土地造成工事もこの一括発注方式に含めれば、土木工事を得意とする地元建設業者は一切の仕事を奪われて干上がってしまう。過去に施工された「あがの市民病院」(新病院)と水原中学校(校舎棟・体育館)は、地元建設業者が県内ゼネコンの傘下で共同事業体に入れてもらい、何とか元請けとして仕事を確保できたが、それができなくなる。地元建設業者は利幅の少ない下請け・孫請けでしか仕事を確保できなくなる。「設計・施工一括発注方式」は阿賀野市版「トリクルダウン方式」の公共工事の入札・発注方式だ。地元の建設業者は県内ゼネコンのおこぼれにあずかるしかない!

 もう一つ大きな懸念材料がある。それは予定価格の社内漏洩である。通常、設計積算が複雑な施設を建設する場合は、設計会社に設計業務を発注し、設計会社から設計図書を作成してもらう。この設計図書に設計金額が表示され納品される。この設計書金額は実際の施工に要する通常妥当な工事費用として積算された金額だ。この設計金額を基に予定価格が決まる。以前は設計金額に一定の割合を掛けて予定価格を設定していた(歩切り)が、国土交通省の指導で原則、廃止になった。現在は、予定価格は設計額と同額にすることが求められている。「設計・施工一括発注方式」により、設計と施工が同一の建設会社に発注されることにより、設計部門と施工部門との間で情報共有と調整が行われ、施工部門の意向(施工方法・施工金額)を反映した設計図書が作成される恐れがある。設計金額の設定を巡って社内談合が行われ、結果として建設コストの高止まりと高い落札率になってしまう。市では「設計・施工一括発注方式」の目的を施工責任の明確化、工期短縮、コストダウンを図ると説明しているが、設計・施工・工事監理が1社任せになることで、手抜き工事・欠陥工事・建設コストアップ・高落札率などが懸念される。※次号に続く。

(あとがき)
 東京都では、豊洲新市場の汚染土壌対策工事の施工ミスで大きく揺れている。ベンゼンなどの有害物質が地表に漏れ出ないように建物の地下は盛り土するはずだったのものがなぜか空洞・空間ができているという。この施工ミスの責任は誰にあるのか。元東京都知事の石原慎太郎氏が21日、豊洲市場の地下空間に盛り土がされていなかった問題について「知事在任中の件で多大な混乱や懸念を生じさせ、申し訳ない。責任を痛感している」などとするコメントを出した。(2016年9月21日産経新聞記事)トップが交代すると、前任者の不祥事や失政が表に出てくることがある。小池新知事にはこの事件をうやむやにしないで、欠陥工事の真相と責任の所在をしっかりと究明して欲しい。

 もう一つトップが交代したことにより職員の不祥事が明るみに出た事例を紹介したい。新潟県佐渡市で行われた4月の市長選挙でトップが交代した。三浦新市長による市政が始まった5か月後の9月6日に「佐渡市職員の懲戒処分等のお知らせ(プレスリリース)」と題する報道発表があった。市営住宅の管理業務を担当する市職員が敷金等の現金入金処理を怠り、また修繕工事等に係る年度内支払を怠ったなど、不適正な事務処理を行ったことで、停職1月・降任(主任⇒主事)の懲戒処分を受けた。当時上司だった課長や課長補佐だった職員も減給、戒告の処分を受けた。この不祥事は前任の甲斐前市長の頃に発覚したものだ。佐渡市にも職員が懲戒処分の対象になるような不祥事を起こした場合、その事実を公表する基準(内規)があると思うが、なぜ今になって公表されたのだろうか。一方、佐渡市は今年1月13日に「補助金不正受給に関する記者会見のお知らせ 」と題し、水産物加工施設整備事業における事業費水増しによる補助金の不正受給があっとして記者発表を行った。これが地元紙など地元メディアによって報道された。このマスコミ報道が甲斐前市長の再選を阻んだという見方がある。

 同じく来月10月16日に投開票日が行われる新潟県知事選挙に立候補を予定していた現職泉田裕彦知事(現在三期目)の4選出馬を断念させた地元紙による報道がある。県が出資する第三セクターの子会社による中古船舶の購入を巡る一連の報道である。中古船の購入に関して第三セクターの最大出資者である県(知事や幹部職員)による関与があったとされる一連の疑惑報道を地元紙が八月中旬頃からかなりの紙面をさいて関連記事を掲載した。泉田知事は8月31日の定例記者会見で、10月の知事選では原発・原子力防災を争点に望むつもりだったが、地元紙による中古船舶の購入を巡る事実と異なる報道によって争点がそらされたという理由で知事選撤退を表明した。
 中古船舶の購入に関する疑惑報道の真偽は分からないが、知事選を間近にしたこの時期に紙面トップに掲載したり紙面いっぱいに記事を掲載した地元紙の意図は分からない。真実に基づく報道で偏った政治的意図はないとこの地元紙は紙面で強調しているが、一読者の立場で考えると首を傾げてしまう。公職選挙法第148条に次の規定がある。
(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)
第一四八条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三(人気投票の公表の禁止)の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。
 ※上記規定は選挙運動期間中の規制条項であるが知事選は事実上始まっている。第4の権力と言われている報道機関が有する「報道の自由」と「選挙の公正確保」とをどのようにしてバランスを保っていくかは難しい。さじ加減一つでこのバランスが直ぐに崩れてしまう。
(代表 天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者