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「いちえいの市議会短信」Vol.8

2021年2月27日ニュース

〇あがの市民病院における救急医療(救急告示病院)の復活について~その2
 
 あがの市民病院は阿賀野市が設置して(公立)、厚生連(公的医療機関)が運営する病院であることから、財政上・税制上の優遇措置が施されています。病院設置者である市に対しては許可病床1床あたり735千円の普通交付税が国から交付されています。令和2年度の交付税相当額は2億円余りになります。市は国から交付された2億円余りを「政策的医療交付金として、運営主体である厚生連に対して交付しています。また、運営主体の厚生連に対しては、補助金や税制(国税、地方税)面で民間病院よりも優遇されています。なぜ、公立・公的病院に対して、国は財政面や税制面での優遇措置を施しているのでしょうか。地域医療を守っている公立・公的病院が、民間病院では難しい不採算部門の救急医療やへき地医療、産科・小児科医療を担っているからです。現在の「あがの市民病院」は、地域医療の要となる救急医療が未達成、産科医療は縮小(4月~)となっています。また、医療法適用病床(250床)の一部(54床)が介護保険法適用病床(介護医療院)に転換されたことで、今後、国からの交付税額も逓減します。

 阿賀野市は、新潟市、五泉市、阿賀町の3市1町で構成される新潟医療圏に入っています。新潟医療圏域にある救急告示病院の数を比較すると、新潟市が19病院(うち2病院は救急救命センターを併設)、五泉市が2病院、阿賀町が1病院(県立津川病院)となっています。一方、阿賀野市内にある「あがの市民病院」(公立病院)と「脳神経センター阿賀野病院」(民間病院)は救急告示指定から外れています。へき地にありながら常勤医師が少ない「県立津川病院」でさえ、救急告示病院の看板を掲げています。阿賀野市は平地に位置し、政令市の新潟市に隣接しているなど、「県立津川病院」のある阿賀町と比較して地理的には優位な場所にあります。

 厚生労働省は2019年9月に、全国の公立・公的病院について「立地基準」と「診療実績」の2つの基準を当てはめ、再編統合の議論が必要な全国424の病院を公表しました。再編統合の議論が必要な新潟県内の22病院について、2019年12月6日付けの地元紙「新潟日報」が伝えた記事によれば、
「県内7区域の中で最も多い人口約90万人の新潟医療圏は、4病院が対象になった。高度急性期、急性期の病院が集中する新潟市中心部の病院と機能や役割が重複していると判断され、いずれも「立地の基準」が該当した。
 厚生連新潟医療センター(新潟市西区)と国立病院機構西新潟中央病院(同)が立地する新潟市小針地区は、済生会新潟病院(同)も含め、半径3キロ圏内に公立・公的病院が集中している。高度医療を担う新潟大医歯学総合病院(同中央区)など新潟市中心部の病院とも近く、集約化した方が効率的だと判断された。
 新潟市郊外や市外にある厚生連豊栄病院(同北区)とあがの市民病院(阿賀野市)も、両病院間の距離が約10キロと近く、高速道路を利用すれば新潟市中心部も20分程度という立地から判断されたとみられる。両病院は急性期病床があるものの、回復期や慢性期が中心で、がんや心疾患などの診療実績が少なく、診療実績でも再編・統合の基準に当てはまった。」
とあります。

 新潟医療圏内の再編統合対象4病院のうち3病院が厚生連が運営する病院(新潟医療センター、豊栄病院、あがの市民病院)です。3病院のなかで救急告示病院の看板を掲げていない病院が「あがの市民病院」です!今後、厚生連が運営する3病院のなかで、再編統合の議論が進むものと思われますが、あがの市民病院から「救急医療」や「産科・小児科医療」といった地域医療の要となる機能が豊栄病院に集約されるのではないかと危惧しています。

 市民に周知(公表)されることなく、あがの市民病院の機能廃止・縮小が「静かに、密かに」進んでいるように感じます。療養病床(54床)の介護医療院への病床転換はまさに、市民病院の機能廃止・縮小に向けた序幕と理解しています。あがの市民病院は多額の建設費(99億円)が投入され、多額の補助金(毎年度2億円)を費やして運営されています。これの費用の全てが税金です。あがの市民病院の現状をみれば、「給付(医療サービスの提供)と負担(税負担)」が不均衡な状態になっています。このような状態で、果たして市民の理解が得られているのか疑問に感じます。

 この不均衡な状態を解消するには、市民が一番に期待している「救急医療」の復活が一番の近道だと考えています。あがの市民病院の現在の医療態勢でも「救急告示病院」の復活は可能です。必要なのは「政治家たる市長のリーダーシップ」です。私は市長在任中に公設民営化を決断し、抵抗勢力と向き合いながらも熟議を尽くし民営化を実現しました!

 【AI秘書Wisの小話】
●新潟県の土木部(土木職)出身の田中市長はハード整備に遺憾なくその力量を発揮している。天野代表が市長在任中に建設計画を策定した「あがの市民病院」や「水原中学校」の二つの公共施設は田中市長になってから建設された。おまけに天野代表の市長在任中に計画になかった安田地区にある「風とぴあ」(公民館と市庁舎の複合施設)が建設されている。
 これら公共施設の整備にあたっては、建設財源の調達などで田中市長の後ろ盾になっている自民党の県議会議員H氏の政治力も見えてくる。造り終えてもその施設が利用されなければ無用の長物(遊休資産)だ。「負の遺産」になれば、これまで見えなかった「借金」が見えてくる。

posted by 地域政党 日本新生 管理者