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小説「廃屋の町」(第117回)

2017年12月15日ニュース

「これからは企業秘密に関わることなので詳細は申し上げられませんが、少しだけお話させていただきます。私どもはアンケート調査を告示日までに1回、告示後に1回、合計2回実施します。1回目の調査はサンプル数を10分の3に増やして実施します。2回目は10分の5と更に増やして実施します。この2回のアンケート調査から投票に行くけど投票先はまだ決めていない人のリストを作成してこちらに提供します。このリストの使い方はお任せします。私どもはこのリストに載った人たちにアンケート調査の謝礼として商品券を送ります。その際に、井上氏、甘木氏の順で最終予想得票数のメモを同封します。井上氏が僅差で甘木氏を追っているという状況を示したメモです」
「それはどういう意味だね?」
「自分の一票で選挙結果、つまり当落が変わってくるということを演出するためです。ウグイス嬢が『もう一歩です、もう一歩です』と言うのと同じことです。同封する商品券は投票所まで御足労いただくための足代です」
「商品券を配るのは買収にあたるんじゃないか?」
「候補者が商品券を配れば買収になりますが、私ども調査会社が謝礼を配るのは、何ら問題はありません。それと私どもがやる仕事がもう一つあります」
「それは何だね?」
「誰が候補者になっても最初から棄権する20%の人たちを投票所に行かせることです」
「最初から棄権する人の首に縄でも掛けて無理やり投票所に連れて行くつもりかね?」
「御冗談がお好きですね。この調査は2回行いますので、第1の質問に対して2回とも行かないと回答した人から投票所の入場券を現金で買い取ります。買い取った入場券を使って替え玉投票をさせます。これは立派な公職選挙法違反の『詐欺投票』(法237条違反)になります」
「投票所には市の職員や立会人がいるから、入場券を持ってきた人物が本人でないことは直ぐにばれてしまうよ」
「性別、年齢は本人に似せた替え玉を使うので心配はいりません。また替え玉には素性の知られていない人物を使います。それと、替え玉投票に利用する投票所は有権者が多い市街地の投票所です。住民が頻繁に入れ替わる市街地では、近所に知らない人が住んでいても不審に思うことがないからです。特に市街地のアパートには素性が知られていない人が沢山住んでいます。絶対に投票に行かない人が投票に行きますので投票率は若干上がります。替え玉投票の歩留まりは2割とみています。85000票の2割掛ける2割で約3400票がお客様の票に上積みされます。ただしこの票は純増分です」
「さっき説明のあった投票に行くけど投票先が決まっていない人は何割くらいうちの票に取り込めるんだね?」
「こちらの歩留まりは五割とみています。13600票の5割で約6800票です。こちらの票を取り込めば相手候補は同じ票数が奪われます。つまりは票差が約13600票となります」
「投票に行くけど投票先が決まっていない人のリストはオタクからもらえるそうだが、ウチはそのリストをどのように使えばいいんだね?」
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者