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時局短信1.5~田中清善阿賀野市長が公職選挙法違反の疑いで告発される(その5)

2016年6月14日トピックス


【地域政党日本新生イメージキャラクター「ウィズ」君】 

 田中清善阿賀野市長による公職選挙法違反疑惑の解明は、現在、捜査・検察当局など法律の専門家にゆだねられているところであるが、大学で法律を学んだ者として、これまでの新聞報道やテレビ映像を基に私なりに分析・検討した。
 
 関係する公職選挙法の条文は第199条の2(公職の候補者等の寄附の禁止)と第249条の2(公職の候補者等の寄附の制限違反)である
●候補者等の寄附の禁止(第199条の2)
 公職の候補者又は公職の候補者になろうとする者(公職にあるもの=現職)は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。香典は寄附にあたる。また「いかなる名義をもってするを問わず」は、どのような理由をもってしてもという意味とされている。従って候補者等の政治活動や選挙に関しない、通常の社交上の寄附であっても選挙区内にある者に対する寄附は、一部の例外を除いて禁止される。一部の例外は以下のとおり。
 ①政党その他の政治団体又はその支部に対してする場合
 ②候補者等の親族に対してする場合
 ③候補者等が、専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(選挙告示前に行われるミニ集会など)に関し、必要やむを得ない実費の補償(※食事についての実費の補償を除く。)としてする場合
 ※集会で供応接待が行われていれば「禁止される寄附」にあたる。

●候補者等の「寄附の禁止」(第199条の2)違反についての罰則(第249条の2)
 候補者等が禁止される寄附をすれば罰則の対象になる。罰則は以下のとおり。
  ①選挙に関して寄附をしたものは1年以下の禁固又は30万円以下の罰金
  ②選挙に関しないもので、かつ、通常一般の社交の程度を越えない場合は、50万円以下の罰金
 ただし、候補者等が葬式(「通夜」も含むまれる。)に自ら出席しその場においてする香典の供与の場合は、(違法ではあるが)罰則は適用されない。

 さて、上記の条文解釈と新聞報道(読売・毎日)・テレビ報道(NHK新潟放送局)を基に私なりに分析してみた。ポイントは2つある。
●弔慰を示せるのは、出席した個人だけ
 NHK新潟放送局で流された6日の市役所で行われた定例記者会見では、田中市長は香典の名義が「阿賀野市」であったと強調した。これは「阿賀野市長」名義の香典が通夜に届けられたとする告発状に対する反論と考えている。田中市長の発言の趣旨を私なりに分析すれば次のとおり。
 「阿賀野市長」名義の香典~田中市長本人(個人)が通夜に出席していないとアウト(違反)になる。
 「阿賀野市」名義の香典~阿賀野市(団体=法人)だから田中市長本人(個人)が出席していなくてもセーフ(違反にならない)。

 世間一般の常識からすれば、葬儀(通夜含む。)には本人が出席したうえで香典が供与されるケースが普通である。本人が出席できない場合には弔電が届けられることが多い。本人自らが葬儀に出席して、故人の霊をとむらい遺族の気持ちを慰めるのが原則だ。その際に受付で渡す香典(金銭の供与)は付随的なものに過ぎない。大切なことは、本人自らが葬儀に出席し弔慰を示すことであって、本人が出席しないで香典だけを渡しても弔慰を示したことにはならない。もっとも香典は市長選挙投開票日前日に届けられたということであるが、故人・遺族に対する弔慰よりも集票目的が主眼だとすれば首肯できる。

 記者会見で田中市長は香典の名義が「阿賀野市」であったことを強調したが、観念的・抽象的な存在である団体(法人)が故人の弔いや遺族を慰めることはあり得ない。香典の名義が「阿賀野市」であっても、香典を受け取った喪主など遺族にとっては阿賀野市を代表する立場にある田中清善市長からの弔慰(の形だけ?)を示されたものと考えるのが自然ではないか。

●田中市長自身が香典の作成と作成された香典の供与(通夜に届けさせたこと)に関与したことを認めた。
 いつもの日課になっているが、私は夜8時45分台に放送されるNHK新潟放送局の「ニュース845」を視聴している。6日夜の放送で田中市長の定例記者会見の映像が流れていた。テロップで「(香典の)名義は阿賀野市」と表示され「それ(「阿賀野市」名義の香典)でいいよ。」という田中市長の肉声が流れていた。NHK新潟放送局で流された映像は、田中市長自身が香典の作成と作成された香典の供与(通夜に届けさせたこと)に関与したことを認めた動かぬ証拠だ。

 舛添東京都知事の政治資金の私的流用など「政治資金規正法違反疑惑」や甘利元経済財政担当大臣の口ききなど「あっせん利得処罰法違反疑惑」もそうであるが、政治家本人に捜査・検察当局のメスが入るということは極まれだ。政治家本人の関与を立証できないからだ(舛添都知事のケースでは本人の関与は明らかであるが…)。ほとんどのケースは会計責任者や秘書に責任を押し付けて自分は上手にすり抜けようとする。いわゆるトカゲのしっぽきりだ。
※次号に続く。

(あとがき)
 今日も地元紙新潟日報にはこの件に関する記事は掲載されていない。代わりかどうか分からないが、舛添要一東京都知事の政治資金規正法違反疑惑の記事が掲載されていた。1面の見出しは「舛添知事 辞職不可避」とあり都議会野党会派(共産・民進等など)が知事への不信任決議案を提出するとのこと。また、社会面では「不信任案『伏して猶予を』舛添氏、怒号の中懇願」という見出しで記事が掲載されていた。今夏リオデジャネロで開催される五輪が終了するまでの命乞いをしているようにも見える。舛添都知事の問題は、五輪と参議院選挙の日程が絡んで政局に発展している気がする。
(代表 天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者