クラウドファンディングを始めました!第8号
今回号も引き続き、「市長交際費の支出(弔慰金)に関する住民監査請求結果に対する取消訴訟(令和5年(行ウ)第10号 市長交際費返還履行請求事件)」(令和5年12月5日付け提訴)について、事実関係を中心にお伝えします。
この訴訟の事実関係においてもっとも重要なポイントは「葬儀に出席したのは誰なのか.」です。情報公開請求によって得られた40件の葬儀に関する支出について、市長自身や代理権限がある市の幹部職員が出席した葬儀(3件)を除く37件については、葬儀の出席者が明らかになっていません。書類(支払証明書)には秘書担当課長が出席したことになっていますが、実際のところには誰が出席したのかは不明です。
その前に、弔慰(香典・供花)以外の市長交際費の支出状況を調べた結果についてお知らせします。市長交際費は「市長交際費費の支出及び公表に関する要綱(平成28年7月15日制定)、以下「要綱」という。」第2条に定める経費について支出が認められています。具体的には「祝儀」「会費」「弔慰」「見舞い」「賛助金」「贈答」「その他」の7つです。令和5年度の交際費の支出実績は85件です。内訳は祝儀が43件、会費が19件、弔慰(香典と供花はそれぞれ1件としてカウント)が16件、贈答が6件、賛助金が1件の順になっています。この85件のうち現金支払い(資金前渡)による支出は贈答を除く79件で、市長などが会議・行事等に参加したことに伴い支出された経費です。市長が参加した会議・行事等が分かる公的な資料が存在します。それは、市議会定例会の開催の際に市議会に提出される「会議・行事等出席報告書」です。この資料には市長が出席した会議・行事等について、「日付」「曜日」「会議・行事」「出席者」の5つの記入欄があります。「会議・行事」欄には、会議・行事名だけでなく開催時刻、開催場所まで記載されています。「出席者」欄はもちろん「市長」と記載されています。
この公的な資料と市のホームページで月別で公表されている「市長交際費支出内訳」とを照合してみると、興味深い事が分かりました。一つには、公職者の葬儀に関する情報が全く掲載されていないことです。この資料を見た限りにおいては、公職者の葬儀には市長自身は出席していないことが分かります。次に祝儀や会費については、市長自身が出席していないのに市長交際費が支出されている事例が散見されます。おそらく職員が代理出席しているものと思われますが、これを裏付ける書類があるのか不明です。「祝儀」も「会費」もいずれも現金払い(資金前渡)による支出ですが、定義があいまいになっています。要綱では、「祝儀」については「記念式典、総会、行事等へのお祝いに係る支出」とあり、「会費」については「記念式典、総会、行事等への参加に係る支出」と記述しています。「お祝い」の場合は「祝儀」に「参加」の場合は「会費」に分類されることになりますが意味不明です。「祝儀」と「会費」の外見上の相違は、お金が入っている袋にありました。私の市長時代の頃の記憶をたどってみると、「祝儀」の場合はのしぶくろ、「会費」の場合は茶封筒であったと記憶しています。
(あとがき)
要綱第1条には市長交際費の趣旨について「公正で透明な市政を推進し、市民の市政に対する理解と信頼を深めるため、……」とある。また私が平成28年11月に提起した住民監査請求結果の最後に掲載されている「監査委員の意見」には、交際費支出の意義として、「……各種団体との友好や信頼関係を維持増進することの重要性は、住民の福祉を向上させる観点から今後も変わらないとしても、そのために何よりも重要なことは、市長が総会等へ列席することである。……」とのくだりがある。これらの説明は公費支出による公務を正当化する上で至極ごもっともな理屈ではあるが、政治家の立場や視点で見た場合、別な一面が見えてくる。それは公金(税金)を使った地盤培養行為である。
日本の公職選挙で政治家が当選を重ねるには「三バン」が必要だと言われる。「三バン」とは「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」のことである。「ジバン(地盤)」は候補者が当該選挙区の出身であること、「カンバン(看板)」は候補者の知名度が高いこと、「カバン(鞄)」は選挙資金が潤沢にあることを意味する。(残念なことに、候補者が有権者に訴える「政策」は「三バン」には入っていない。)
経験則から言えることは、市長が公務として、現・元公職者の葬儀に出席したり、各種団体が主催する会合に出席することの政治的な意義は、次の選挙(4年後)に向けた地盤培養行為につながる、ということである。特に交際費が支出される会合は飲食を伴う会合であり、多くは夕方から夜かけて行われる宴席である。私が市長だった頃もそうだったし今も変わらないだろう。
私は平成20年4月の市長選挙で初当選したが、組織に支援を求めない草の根選挙で臨んで勝利した。一方、対抗馬の候補者(副市長経験者)は、当時の市長(故本田富雄氏)や現新潟県議会議員(自民党)の帆苅謙治氏を後ろ盾にして、建設業界などの組織的な支援を受けて立候補した。私は市長に就任してからは、次の選挙に向けた後援会を含めた組織づくりに腐心した。その一環として公を務として出席する各種団体の会合には積極的に出席した。特に宴席を伴う会合への出席は昼間の会合と違って、華やかな雰囲のなか、忌憚のない、胸襟を開いた話を通して業界事情を知ることができる良い機会である。しかし、夜の会合への招待は市から何らかの財政的支援や仕事もらっている団体が多い。私は予算執行権を持っている自身の立場を常に意識して言質を取られることがないよう注意して会合に臨んだ。会合には1時間以内で切り上げて2次会への出席は避けた。しかし、1回だけ選挙で支援を受けた建設会社の社長に誘われて2次会に行ったことがあったが、怪しい雰囲気を察知してタクシーを呼んでもらって退散した。
特に建設関係団体が主催する会合の場合は、メリットとデメリットを認識した上で参加すべきである。メリットとしては、選挙になると組織一丸となって支援してもらえることである。集会の開催などによる集票活動やポスター貼りなどの手作業にはマンパワーが必要であり、業界団体からの支援は実に心強い。一方、デメリットもある。それは選挙支援に対する「お返し」(倍返し)を求めれれることである。政治は「ギブ(与えること)&テイク(もらうこと)」の関係が特に強い世界だ。業界団体は、まず先に選挙での支援(集票)を約束し(ギブ)、選挙で当選した後には団体への財政支援や仕事を要求する(テイク)。例えば建設関係団体であれば公共事業予算の増額と地元業者への発注機会の増加(優先発注)を求めてくる。こういった会合を重ねることで市長と業界団体との親密な関係が構築され、入札情報など市長や限られた職員しか知り得ない情報が漏洩するリスクも高まってくる。
建設関係団体の会合の席には、必ず現新潟県議会議員(自民党)の帆苅謙治氏の姿があった。最初に挨拶する帆苅氏。「阿賀野市の基幹産業は建設業と農業であります。…」これが、私が市長時代に同席した帆苅氏が挨拶の初めに発する決まり文句である。当時もそうだったし今もそうだろう。帆苅氏の言う「農業」は農業基盤整備事業(公共事業)のことであり、公共事業予算を増額確保して地元建設業者の仕事を増やしていくので次の選挙もよろしく、という文脈で言っているのだろうと理解している。
県が行う公共事業は県の地域機関が工事の入札・発注を行っているが、ほとんどの工事は指名競争入札によって施工場所の市町村に所在する建設業者が指名されている。昨年、県の地域機関である新発田地域振興局農村整備部(農業基盤整備事業の所管部署)の現職部長と受注業者が官製談合の疑いで逮捕された。果たして県は今回の不祥事を受けて実効性のある入札改革を実現できるのだろうか。
【クラウドファンディングの創設について(お知らせ)】
【趣旨・目的】 私が提訴している「市長交際費(弔慰)の支出に関する部分情報公開決定に
対する取消訴訟」、「市長交際費の支出(弔慰)に関する民監査請求結果に
対する取消訴訟」の2件に係る訴訟費用の調達
【目標額】 100万円
【寄附金額】 1口1万円から
【連絡先】 n.shinsei@mbr.nifty.com(地域政党日本新生メールアドレス)
※上記連絡先にメール送信される場合は、御氏名、御住所、寄付金額(口数)を
明記してください。追って振込手続きについてご案内させていただきます。
【その他】 ご寄附いただいた方へのお礼として、私(ペンネーム橘左京)の文芸作品
(小説・エッセーなど)を定期的に配信させていただきます。ブログ読者の皆さまの
ご厚志をお待ちしています!