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小説「廃屋の町」(第111回)

2017年12月3日ニュース

 開札時刻の9時30分になったことから、封かんされた入札書を開封しました。次に、井上将司市長から記入してもらった予定価格の封書を開封しました。予定価格(税抜き)は68億731万1000円でした。一方、入札額の方は73億2500万円でした。私たち入札執行職員は予定価格と入札額を比較して入札額が予定価格を上回ったため、業者に、このことを伝えて、第1回目の入札は不調にしました。その場で再入札が行われましたが、2回目の入札も予定価格を上回る金額だったために不調になりました。なお、市の財務規則では再入札は1回が限度とされています。しかし、中山課長は予定価格が記入された文書と入札書を、私たちから取り上げて、
「もしかして、消費税分が入っているんじゃないか?」と言った後、電卓を叩いて出した数字をメモ書きし、そのメモ書きを予定価格と一緒に業者に見せて、
「これを見て分かるように、入札金額に本来は含めない消費税分が入っていたようですね。この金額を記載したもので再度提出してください」と業者に伝えました。
 私は中山課長に「再入札はもうできません」と言ったら、「2回目の入札書は廃棄して、これから提出される入札書を再入札の札にするように」という指示を受けました。
 中山課長からメモを受け取った業者は「この金額だと予定価格に近い額になって、不自然じゃないですか?」と言いましたが、中山課長は「この入札は総合評価方式で行われていますから、予定価格の範囲内であれば、落札率が高くなっても、全く問題はありません」と言って、指示した金額を業者に書かせ提出させました。私たちは、業者から示された入札額を見てびっくりしました。落札率が99・9%と予定価格に極めて近い金額だったからです。
 業者が帰った後、中山課長は私たち二人に向かって、「このことは、絶対に市役所内だけでなく外部にも漏らさないように。もし、君たちがこのことを漏らせば守秘義務違反で懲戒処分を受けることになるからね」と脅され、他言するなと釘を刺されました。
 中山課長が行ったことは、本来、業者に対して公開されていない予定価格の漏洩であり、入札談合等関与行為防止法第2条第5項3号に規定する「発注に係る秘密情報の漏洩」にあたると考えています。貴職におかれましては、市立病院建設工事の入札で行われた官製談合の真相を解明していただきたく通報しました。
 入札課に配属されて分かったことですが、市が発注する公共工事の落札率が95%以上と、県内の市町村平均よりも高止まりになっていることが気になっていました。もしかして、入札前に発注者側の市から受注者側の建設業者に予定価格が漏れているのではないかという疑念を抱きながら、仕事をしてまいりました。
 田沼市が発注する公共工事のほとんどは、市内に本社または営業所を置く建設会社しか入札参加を認めないという「制限付一般競争入札」で行われています。特に、道路の新設・改良工事、下水道や消雪パイプの敷設工事、公共施設の改修工事の場合は、田沼市に本社を置く建設会社しか入札に参加できない仕組みになっています。この場合は、落札率も98%以上となり予定価格に極めて近い金額で落札されています。
 以前から市役所内では、官製談合が行われているんじゃないかという噂話が流れていました。自分が入札課に配属になって、官製談合の現場を初めて目撃することになり、大変、ショックを受けました。入札課に在籍している時は、パワハラが怖くて、上司から言われるままに入札業務を執行してきましたが、入札公告を無視した入札執行などおかしなことだらけでした。4月の市長選挙を間近に控えたこの時期、井上将司市長の評判を落とすような不祥事が外部に漏れないようにと、公務員の守秘義務違反を楯に取った緘口令が敷かれています。私の通報が契機となって、公益を害する官製談合や入札談合が田沼市から一掃されることを切に願うものです。
平成28年2月24日
長野県田沼市川東町五番地三八
坂井 盛男(携帯080-****-*****)
 坂井盛男が自殺した数日後、長野日刊新聞の社会面に、「懲戒処分を苦にした田沼市職員 首を吊って自殺」という見出しで、次の記事が掲載された。
「田沼市元職員の坂井盛男さん(42歳)が実家の工場で首を吊って死んでいるところを家族が発見して警察に通報しました。坂井さんは今月、酒気帯び運転と無免許運転をしたことで、市から懲戒免職処分を受けていました。警察では懲戒処分を苦にして自殺を図ったものとみて調べを進めています。なお、遺書は残されていないということです」
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者