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小説「廃屋の町」(第104回)

2017年11月19日ニュース

「いやー、あの時は、県議さんには大変お世話になりました。金で解決できましたからね。本当に感謝しています」
「『政財界信州』のスクープ記事は金を払えばボツにできるが、日刊紙の長野日刊新聞は、金を使ってもボツにするのは難しいね。うちの県連にマスコミ対策の専門家がいるから、それとなく、長野日刊新聞に探りを入れてみるよ」
「よろしくお願いします。今回も手数料は掛かるんでしょうか?」
「要らないよ。昼間の逢瀬は市長の不用心が招いた市長自身の不祥事だが、市立病院の建設工事の入札は私も関わっていたこともあり、官製談合が行われていたなんて話が選挙前に公になれば、私の政治生命も終わりになるよ」
「当時は、資材単価や労務単価が急騰したことから、入札参加業者がなくて、不調に終わった公共工事が多かったんですが、市立病院の建設工事の方は、県議さんからお骨折りをいただき、JV一者の参加でしたが入札を執行できました。いやー、本当にありがとうございました」
「そんなこといいけど、長野日刊新聞社にリークしたのは職員かね?」
「多分そうだと思います。中山部長が入札課長だった頃に入札係の主任をしていた坂井盛男って職員がリークしたんじゃないかって、中山部長が言っていました。今は財政課の予算係長をしています。県議はご存知ないかもしれませんが、坂井の上司にあたる財政課長の杉本昇は甘木雄一の中学時代の同級生です」
「そうすると、市立病院の官製談合の件は甘木陣営に漏れている可能性もあるね」
「そうは思いたくはありませんが……」
「とにかく、早く手を打たないと、取り返しのつかないことになる。坂井盛男って職員の免許証のコピーを至急、用意してもらえないか?」
「はい、分かりました」井上は携帯電話を切った。
「日下部さん、立川総務課長を呼んでもらいたい」
「はい、承知しました」
「失礼します」総務課長の立川智が市長室に入った。
「ちょっと、お願いしたいことがあるんだが……」
「また免許証のコピーでしょうか?」
「そうだよ。今度は入札課職員全員の運転免許証だよ。今の職員と3年前に入札課に在籍していた職員の免許証のコピーだよ。だぶりは除いてね」
「入札課長の免許証のコピーも必要でしょうか?」
「もちろんだよ」
「3年前の入札課長って中山部長ですが?中山部長の分も要りますか?」
「もちろんだよ」
「あのー、どのような用向きで入札課職員の免許証のコピーが必要なんでしょうか?免許証は職員の個人情報にあたりますから、慎重に扱わないと……」
「つべこべ言わずに、持って来なさい!」
「は、は、はい、今すぐにお持ちします」立川は慌てて市長室を出た。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者