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小説「廃屋の町」(第97回)

2017年11月5日ニュース

「はい、今言った建設業協会の余剰金は、団体献金として民自党長野県連田沼市支部に寄附されています」青木が言った。
「御存知のとおり、民自党長野県連田沼支部長は山田良治県議です。青木さん、続けてください」
 加藤が青木に促した。
「はい、また余剰金は個人献金として、山田県議と井上市長の政治団体にも寄附されています」
「山田県議と井上市長は、それぞれ個人献金の受け皿となる資金管理団体を持っていますので、これらの団体に対して個人献金が行われているということです」加藤が言った。
「確か、政党や政治資金団体、その他の政治団体が個人や団体から寄附を受けた場合、政治資金収支報告書に記載することになっていますが……」
 甘木が尋ねた。
「そのとおりです。県内にある政治団体の場合、毎年、政治資金収支報告書を作成して県の選挙管理委員会に提出することになっています。提出された政治資金収支報告書は公表されています。しかし、政治家個人が受け取った個人献金は選挙管理委員会への報告義務がないので、誰がどれだけの寄附をしたのかは分かりません」加藤が言った。
「一人が年間150万円を超える寄附をしても、分からないということですね?」風間が尋ねた。
「そうです。全くのブラックボックスです」加藤が言った。
「青木さん、団体献金の寄附者は建設業協会で、寄附の相手は民自党長野県連の田沼市支部ということですね?」甘木が確認した。
「はい、そうです」青木が答えた。
「さっき、協会の剰余金は個人献金として、山田県議と井上市長の政治団体にも寄附されている、という話でしたが、寄附者は誰ですか?団体である建設業協会は、個人献金はできないはずですが……」
 甘木が尋ねた。
「公共工事を受注した建設会社の社長個人が、個人献金として山田県議や井上市長の資金管理団体に寄附しています。県の工事を受注した場合は山田県議の、市が発注した工事を受注した場合は井上市長の、それぞれの資金管理団体に寄附しています」青木が言った。
「青木さんは山田県議や井上市長の資金管理団体に個人献金をしたことはあるんですか?」
 甘木が尋ねた。
「ウチは県の工事を元請けで受注したことがないので献金はしていませんが、協会に入っていた頃は、さっきも言ったように市の工事を年間十数件受注していたので、井上市長の資金管理団体に寄附したことはあります」青木は答えた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者