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小説「廃屋の町」(第42回)

2017年7月20日ニュース

 甘木と風間の挨拶回りは12月になっても続いた。二人は子育て世帯の多い新興住宅地を尋ねた。ある家では障害を持った子供を養育している主婦から、ごみの無料チケットの枚数を増やして欲しいという要望を受けた。次に訪ねた家では、休日に子供を遊ばせる場所が少ないので、遊具付きの児童公園を作ってほしいという要望を受けた。また別の子育て世帯の主婦からは子供の医療費の完全無料化や小中学校の学校給食費の無償化の要望を受けた。甘木と風間は子育て世帯の多い住宅団地を回ってみて、子育て支援の拡充が必要だと感じた。
「田沼市は県内18市の中で最も子供の割合が少なく、人口10人に対して子供は2人しかいない。一方、お年寄りは3人だ。残りの5人が働いている世代の人口だ。また田沼市の合計特殊出生率が県内最下位の1.16になっているのは田沼市が子育てしにくい環境にあるからだよ」
「今、甘木が言った子育てしにくい環境にあるってどういう意味だい?」
「田沼市が誕生して今年で8年目に入ったけれど、合併後の8年間を振り返ると無駄な公共事業が大変多くなっている。無駄は公共事業が増えたおかげで市が抱える借金も増えている。その借金を返すのは今働いている世代だし、将来働く世代になる子供たちだ。彼らに借金返済の負担を負わせようとしているのが今の井上市政だよ。ここ数年、子育て支援の厚い戸板市に子育て世代が逃げている。子育て世帯は子供と一緒に動くから子供の人口が減るのは当然だよ」
「まったく、甘木の言う通りだ」
 田沼市の近隣にある戸板市は、市営の工業団地に企業進出が続き、固定資産税など、市税収入が増え財政力指数が1を超えたことから、普通交付税の不交付団体になっている。財政的に豊かな町になった戸板市では、保育料の無料化、学校給食費の無償化など、急激に増えた子育て世帯に対する支援が充実している。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者