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小説「山田研一 ただ今 単身赴任中」(第2話)

2016年12月6日ニュース

 長岡駅で新幹線を降りた山田はローカル線に乗り換えて一駅先の駅で降りて我が家に向かった。駅から歩いて10分程の所に山田の家がある。大通りを左折すると数軒先に我が家の明かりが見えてきた。
「ただいま。」
研一は玄関のドアを開けて、由紀子と弥生に帰宅を知らせた。
「お帰りなさい。」台所で食事の支度をしている由紀子の声が聞こえる。
「お帰りなさい。お父さん、東京でちゃんとご飯を食べていたの。」弥生が玄関で研一を出迎えた。
「もちろんだよ。弥生、まだ起きているのか。もう9時だぞ。部屋に戻って寝なさい。」
「弥生、お父さんに話したいことがあるの。」
「今日は遅いから、明日の朝に話を聞くよ。」
「分かったわ。お父さん、お休みなさい。」
「お休み。」
研一は台所で遅い夕食をとりながら由紀子との数日振りの会話を楽しんだ。
「女の子は母親に似ると言われているけれど、弥生の言葉遣いも君に似てきたみたいだよ。」
「さっき玄関で、弥生があなたに言った、ちゃんとご飯を食べたかという話ね。」
「そう。君が作って月曜日に渡してくれた献立表に従って、ちゃんと自炊していますのでご心配なく。」
「分かっているわよ。でも平日はあなたを見ていないので心配なのよね。会社の帰りに、毎晩、晩酌を兼ねて外食しているんじゃないかって、時々、弥生と二人でご飯を食べながら、あなたの話しをすることがあるのよ。」
「それで僕が帰って来るなり、弥生がああいう質問をしたんだね。」研一は話を続けた。
「ところで、弥生が私に話したいことがあるって言ってたけど、何か分かる。」
「夏休みに入ったら東京ディズニーランドに連れて行ってもらいたいという話よ。お友達の美咲ちゃんや小百合ちゃんが5月の連休に家族旅行で東京に出掛けたそうなの。東京スカイツリーやディズニーランドに行ったことを学校で自慢しているそうよ。」
「そうか。まだ弥生を東京に連れていったことがなかったね。お盆前の8月上旬なら会社もそんなに忙しい時期ではないし、金曜日か月曜日に一日休みをもらって三連休にしよう。僕が今、住んでいる都内の社宅は2DKの間取りだし、君や弥生が東京に来ても泊まることができるよ。」
「その話、明日、弥生が聞いたら、きっと喜ぶわよ。」
「そうだね。」

翌朝、朝食のテーブルを囲んで弥生は研一の顔色を伺うようなそぶりで口を開いた。
「昨日、お父さんが家に帰って来た時に話したいことがあるって言ってたでしょう。それはね。五月の連休にね。お友達の美咲ちゃんや小百合ちゃんがディズニーランドと東京スカイツリーに行ったことを学校で自慢しているの。弥生もディズニーランやスカイツリーに行きたいんだけど。」
「その話。昨日の夜、お母さんから聞いたよ。8月になったら家族3人でディズニーランドとスカイツリーに行こうか。」研一は弥生に答えた。
「ほんと。うれしいな。」弥生の口元がほころんだ。
「弥生、お母さんと2泊3日の日程で東京に来なさい。東京駅のホームでお父さんが待っているよ。他にも行きたいところがあれば、お母さんと相談して決めておくんだよ。」
「わーい。早く8月が来ないかな。」弥生は、突然、箸を持った手を上げた。
「弥生、お行儀が悪いわよ。ちゃんとしてご飯を食べなさい。」由紀子が弥生を注意した。
「はーい。」弥生は姿勢を正してご飯を食べ始めた。
(作:橘 左京)

posted by 地域政党 日本新生 管理者