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市民オンブズマン通信13.3~法令違反をやっても阿賀野市職員はお咎めなし?(その3)

2016年11月3日ニュース


【地域政党日本新生イメージキャラクターウィズ」君】 

 今号では日頃より市民オンブズマンの活動に深い理解と協力を頂いているY氏から情報提供いただいた市職員による法令違反事案について言及したい。現在、確認できた法令違反は2つである。
1.水原代官所の有料貸出に伴う使用料徴収について(詳細はこちら
 本来、条例で定めなればならない「使用料」を規則で定めたこと。(地方自治法第条228違反)
2.私人(コンビニ)による市税の収納事務委託について(詳細はこちら
 本来、私人に公金収納の事務委託をした場合、そのことを告示する必要があるのに告示を怠っていたこと。(地方自治法施行令第158条第2項違反)なお、度重なるY氏の指摘を受けて担当課は遡って告示を行ったことから、現在は違法状態は解消されているという。
 上記2件の市職員による法令違反は、明らかに地方公務員法第29条第1号に定める懲戒事由に当たる。
 同条項では次のように規定している。
(懲戒)
第二九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二~三 略
 具体的な違反条項は同法32条だ。
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
 明確な懲戒事由(職員による法令違反)が発生しているにもかかわらず、担当職員や管理監督の立場にある職員に対して懲戒処分が行われていないのは不思議な現象だ。実害が生じていないからだろうか。

 ここで読者諸氏に質問したい。あなたが部下になった立場で考えてほしい。
 上司から法令に違反する職務命令を受けた場合、部下であるあなたはどうすればよいのか。
1.法令順守を優先させて、上司の違法な命令を拒否する。
2.上司の違法な命令を優先させて、法令には従わない。(無視する。)
 地方公務員法第32条では公務員の義務として二律を規定している。法令(法令・条例・規則・規程)と上司による職務命令だ。法令には優劣・序列がある。法令が一番の優位規範だ。左から右に並んだ順で優位性が低くなる。それでは上司の職務命令の方はどうか。上司の職務命令は法令のなかの最下位規範である規程よりも劣位にある。理由は明快だ。上司も公務員である以上、その職務(部下職員の管理監督業務)を遂行するにあたっては法令に従わなければならないならないからだ。従って上記質問に対する回答(正解)は1である。

 それでは、第2の質問。この上司が市長や知事など「地方公共団体の長」であった場合はどうか。市長や知事(特別職)から法令違反の職務命令を受けた職員(一般職)は、どうすればいいのだろうか。参考までに「地方公共団体の長」は特別職であるために地方公務員法は適用されない。
 「特別職による違法な職務命令に従うべきか。違法な職務命令を拒否し法令を遵守すべきか。それが問題だ。」
 さながらハムレットの第三幕第一場の名セリフ「To be, or not to be. that is the question.」(生きるべきか死ぬべきかか、それが問題だ。)の心境だ。懲戒処分は一般職の職員に対して行われるが、この懲戒処分は行う権限を持っているのが任命権者である市長や知事といった特別職(ほとんどは)だ。
 第2の質問に対する回答(正解)は、”法令の遵守を優先して特別職による違法な職務命令を拒否する。”だ。
 理由は明快だ。地方自治法第138条(執行機関)には次のような規定がある。
第一三八条の二 普通地方公共団体の執行機関(知事・市長村長などの特別職)は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。
 上記の規定を見て分かるように市長や知事といえども、法令・条例・規則・規程・議会の議決を無視しては業務を行うことはできないのである。従って、職員(一般職の地方公務員)は市長や知事(特別職の公務員)による法令違反の職務命令に従う義務はない。

 以上の状況分析を踏まえ、公然と行われている(行われた)阿賀野市職員による法令違反の業務執行について検証する。
 まずは私人による市税の収納事務委託の告示について検証する。(現在は違法状態が解消されている。)
 結論から言えば、担当職員による事務の失念と考えられる。市税のコンビニ収納事務委託は私が市長をしていた頃に決まって、現市政が始まった平成24年4月1日から実施された。収納事務の委託期間は2年間だ。この時は収納事務の委託告示が行われていた。26年4月からは委託契約が更新されたにもかかわらず告示を行っていなかったのである。告示は1度やれば良いと考えていたのかもしれない。今年の4月1日から委託契約が更新されたにもかからず、あいかわらず告示を怠っていた。Y氏の指摘を受けて担当課では9月1日付けで収納事務の委託告示を行った。なお委託期間は終了した26年4月からの委託契約期間をカバーする形でH26/4/1~H29/3/31となっている。(現在の収納委託契約の始期はH28/4/1)担当職員には告示が行われていなことで法令違反状態になっているという認識はなかったものと考えられる。Y氏の指摘を受けて初めて法令違反の状態にあると気づいて、慌てて違法状態を是正したものと考えられる。Y氏から見せてもらった収納事務の委託告示の稟議書(写し)を子細に見るとよく分かる。
 次に、水原代官所の有料貸出に伴う使用料徴収についてを検証する。こちらは悪質だ。
 ※次号に続く。

(あとがき)
 衆議院選挙や参議院銀選挙など国政選挙が行われる度に、耳目を集めているのが一票の投票価値を巡る憲法違反訴訟だ。今夏、行われた参議院選挙では選挙制度が改正され、選挙年齢が2歳繰り下げられ18歳になった高校3年生も有権者に加わった。もう一つの大きな制度改正は合区である。合区は一票の投票価値の格差是正のために行われた苦肉の策だった。鳥取と島根、徳島と高知が合区となってそれぞれ1選挙区となった。それでも投票価値の不平等は解消されていないとして参議院選挙の無効を求めた訴訟があちらこちらで提起された。全国で14件の訴訟が提起され、現時点で12件について高裁の判決が下された。結果は違憲状態が7件、合憲が5件だ。
 国政選挙のたびに投票価値の平等を求めて訴訟が提起されるが、違憲状態が解消されないままに次の選挙が行われる。いつも、この繰り返しである。法律を改正できる権能を与えている国会(議員)の職務怠慢を裁判所の判決(違憲状態)が警告しているにもかかわらず、国会議員の生殺与奪(生活?)に直結する選挙制度の改正には当の本人(国会議員)はいつも消極的だ。そろそろ最高裁判所による違憲無効の判決が下されてもよい時期ではないか。この国ではいつでもどこでも、正義(法による支配)よりも利害(損得勘定)が優先される。
(代表 天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者