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政局自論8.1~動き出した利権まみれの「道の駅」(阿賀野市下黒瀬地内)開発構想(その1)

2015年10月8日トピックス

阿賀野市から新潟市江南区を望む「道の駅」開発予定地

 新潟市江南区から東に位置する五頭連峰に向かって国道49号線を車で進むと阿賀野川を越えて阿賀野市に入る。この国道49号線と阿賀野川の右岸堤防(河口に向かって右側の堤防)、市道に囲まれた三角地帯が「道の駅」開発予定地(開発面積9ha)だ。この9ヘクタールの土地が過去2回行われた阿賀野市長選挙を巡る政局に利用されてきた。

 ここで、この土地の開発を巡る政局を簡単に振り返ってみる。前々回の市長選挙(2008年4月)では、本田富雄元市長の後継指名を受けた前副市長の田中清氏(新人)と同じく新人の私との一騎打ちであった。「道の駅」開発の是非が選挙戦の争点になった。当時はフィンランドプロジェクト「福祉の道の駅」という名称で呼ばれていた。この「福祉の道の駅」は、主に民間企業が整備する高齢者向け住宅団地や特別養護老人ホーム(定員100名)・日帰り温浴施設に加え市が整備する地場産業のPR施設を備えた複合型の施設群を整備する計画だった。田中氏は「推進」、私は「中止」の立場で有権者に訴え、選挙の結果は私が当選した。

 私は市長に就任後、直ちに「福祉の道の駅」を中止するための手続きを開始したが、市長反対派議員が過半数(13人)を占める市議会(現員22人)や地元自治会・開発予定地の地権者の抵抗は熾烈を極めた。特に「福祉の道の駅」の開発よりも市立病院(当時の「水原郷病院」、現在の「あがの市民病院」)の存続と経営再建(公設民営化)を優先させた私に対する腹いせとばかりに、市長反対派議員(13人)は翌年2009年6月の定例市議会で私に対する「辞職勧告決議」を成立させた。辞職勧告決議は市長に対する不信任案の議決(出席議員の4分の3以上の同意が必要)と異なり法的拘束力はないが、過半数の議決で足りる。(詳しくは「かわら版創刊号」を参照)

 一方、地元自治会・地権者は、国道49号のバイパス(阿賀野バイパス)の建設工事と絡めてバイパス工事の着工阻止(ボイコット)に向けて動き出した。阿賀野バイパスの建設は旧水原町時代時代から引き継がれてきた市の重要課題(国への要望事項)の一つだった。安田地区の区間(安田バイパス)は平成18年11月に開通したが、水原地区の区間(水原バイパス)は旧水原町議会が昭和55年12月に法線変更を求める請願を採択したことで事実上の凍結状態になっていた。旧水原町の市街地をL字型に通る国道49号は慢性的な渋滞と交通死亡事故の多発に悩まされていた。渋滞解消(市街地から通過車両を排除)と交通事故防止の観点から水原地区のバイパス建設は地元の悲願だった。

 「福祉の道の駅」は、国道49号のバイパスの建設工事に併せてバイパスのインターチェンジ付近(阿賀野市内の最初のインターチェンジ)に、地域振興を目的に民間セクターと公共セクターによる複合的な施設を整備する計画だ。市が建設する産業振興施設や住宅団地内市道の整備費用が当時約16億円であったと記憶している。これに民間の投資額を含めて総額70億~80億規模にもなるというビッグな開発プロジェクトだった。私は市長就任後、「福祉の道の駅」を中止するために何度か地元自治会や地権者組合(区画整理準備委員会)との会合に出席したが、その席で複数の地権者から発せられた発言は今も忘れない。発言の要旨はこうだ。
 1.バイパスと道の駅はセット(一体)だ。道の駅を中止してバイパスの建設工事は認めない。
 2.我々は普段の買い物や通院は川(阿賀野川)を越えて隣の新潟市(江南区)にある商業施設や病院を利用する。
 3.我々に必要なものは道の駅でありバイパスは不要だ。(道の駅ができれば孫と温泉に入れる。)

 特に2番目の発言にある、市内よりも市外での買い物や通院を優先する地権者の発言を聞いて驚いた。この人たちは本当に阿賀野市民なのだろうかと感じた。市が整備する約16億円もの公共施設は市民の税負担で建設するものだ。地権者から買い取る公共用地も市民の税負担で取得する。公益(バイパス建設による慢性的な渋滞解消と交通死亡事故の防止)よりも私益(土地の売却益)を優先する地権者の姿勢には呆れかえった。※次号に続く。
(あとがき)
 バイパスの用地買収は既に終わっているが買収単価は田んぼ1反(10アール)当たり1千万円だった。田んぼを農地として売却すれば1反当たり百万円以下だが、田んぼを公共用地(道路用地)に転用することを前提に売却すれば10倍以上の高値になる。まさに「濡れ手で粟」だ。しかも公共用地として売却することから税金(一時取得に対する課税)も免除される。
 また、「道の駅」の地権者の中に地元建設業者2社の代表取締役が所有する土地(田んぼ)がある。これらの建設業者にしてみれば、市が発注する「道の駅」建設工事の受注を見込んだ思惑(期待)が働いても不思議ではない。土地の売却益と建設工事の受注。あまりにも美味し過ぎる話ではないか。
(お知らせ)
 これまで「時局自論」でお伝えしてきましたが、政治色の強い・政局がらみのテーマについては「政局自論」としてお伝えします。

(代表 天野 市栄)

posted by 地域政党 日本新生 管理者